常世国往還記

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読書と映画の鑑賞記録。
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いい人は、悪い人

2004/08/29(日) 00:00:42



いい人になる方法(book)
ニック・ホーンビィ著 森田 義信訳
新潮社(新潮文庫) 2003年
アバウト・ア・ボーイ」にしろ、「ハイ・フィディリティ」にしろ、独身男性の生態描写があまりにうがっているので、ニック・ホーンビィは独身男専門作家かと思いましたが、今度は普通の?家族の話でした。

医師のケイティは、売れないフリーライターの夫デイヴィッドとは20年来の付き合いになるが、最近は完全な倦怠期。不満たらしい夫の言動にいちいち腹が立ち、どうということもない男を相手に、ふと浮気してしまった。まじめで「良い人」のはずの私が浮気なんて! 自分で自分にショックを受けるケイティ。しかし、彼女の背信を疑いもせず、相変わらず勝手なことばかり言う夫にイラついて、心にもない「離婚」を口にしてしまう。


ケイティとデイヴィッド夫妻は、伝統的な分業形態を基準にすると、完全な逆転夫婦。ですので、夫と妻を逆にして考えると、話はごくありがちな、わかりやすいものになります。
では、ちょっくらやってみましょう。





お互いに慣れきった中年夫婦が、それぞれ家庭に不満を持っています。近頃かーちゃん(デイヴィッド)は、何かと機嫌が悪くて仏頂面ばかり。おまけに腰が痛い、肩が凝ったと、体の不調ばかり訴えています。
昔はけっこう可愛らしかった(イケてた)のに、今じゃ外見・中身ともに立派なオバハン(オジサン)です。
とーちゃん(ケイティ)に言わせれば、今だってかーちゃん(ダンナ)や子どもたちを愛してないわけじゃないけれど、もうちょっとオレ(アタシ)のこと考えてくれてもいいんじゃないの? 一家の大黒柱はオレ(アタシ)なんだからさあ。

というわけで、とーちゃん(ケイティ)はほんの出来心で、手近な若い子と浮気してしまいます。でも、本気じゃないよ、浮気だよ浮気。(女)なら誰だってあるよなあ(?)。

かーちゃん(デイヴィッド)は、何となく(妻)の不穏な空気を感じ取って、ますます不機嫌。(妻)の気持ちが離れていくことが不安なのです。ところが、とーちゃん(ケイティ)はそんなこととはつゆ知らず、かーちゃん(デイヴィッド)の態度にイラ付くばかり。
オマエ(アンタ)がそーゆー態度だから、オレ(アタシ)が浮気なんかしちゃうんだよ。あーめんどくせえ、こーなったら離婚だよ、リ・コ・ン

事態がここまで来ているなんて思ってもみなかった かーちゃん(デイヴィッド)は、仰天します。おとなしくて真面目一方だと思ってたとーちゃん(ケイティ)が、離婚だなんて!
かーちゃん(デイヴィッド)の不定愁訴やツンケンした態度は、老化からくる容姿・能力の衰え、家事・育児中心の生活に生きがいが持てないなど、漠然とした欲求不満が原因の八つ当たりだったのですが、結果的にとーちゃん(ケイティ)を傷つけていたことで、かーちゃん(デイヴィッド)はものすごく反省します。

離婚なんて、とんでもない! こんなことじゃいけない。皮肉や愚痴は返上して、もっと前向きに生きなくちゃ。

そこで彼女(彼)は、噂のヒーラー、グッドニュースを訪ね、彼の癒しの力で心身両面の問題を解決してもらい、「正しい人生」を送ることを決意します。(みのもんたの健康法とか、新興宗教、エコロジーなどが近いかもしれません。)
彼女(彼)は、家庭の幸せなんてせせこましいものじゃなく、すべての人の幸せを考えることにしたのです。

しぶるとーちゃん(ケイティ)をひきずるように、一家はホームレスのためのボランティア活動に取り組むことになります。
人生の目的を取り戻し、すっかり生き生きするかーちゃん(デイヴィッド)。でも、とーちゃん(ケイティ)はついてゆけず、一家はバラバラ。
世界の幸せには貢献できても、家族はあまり幸せではありません。

とーちゃん(ケイティ)は自問します。
自分がいけないんだろうか。でも、どこが悪かったんだろう。真面目に生きてきた。家族のために一生懸命働いた。自分が幸せになって、何が悪いんだろう。家族を愛してる。(夫)と子どもたちと、幸せに暮らしたい。それがいけないことだろうか? 誰か、オレ(アタシ)はいい奴で、間違ってないと言ってよ……。

good husbandでもなく、good wifeでもなく、How to be goodというタイトルがミソ。
男女の枠、家族の枠、いろんな枠をとりはらったとき、いったい何が残るのだろう。
いっそ我を捨てて全体に埋没するのか、それとも個人の幸福だけを追求するのか。

ケイティの価値観を問うラストは微妙です。
壊れた雨どいは、ケイティ一家の歪みを象徴するかのよう。世界を救う前に、家族が洪水で溺れてしまいそうです。しかし、一家がもっとも結束すべき瞬間に、“家族”に固執することの無意味を見てしまったケイティ。この先、彼女は夫を支えていられるのか、それとも。

究極の利己心と、究極の利他心は、案外近いものかもしれません。そのバランスが崩れると、自分もまわりも不幸になる。

妻と夫の逆転ぶりは爆笑ものですし、ホーンビィらしいコモンセンスも例のとおりですが、バランスを失って転覆寸前の、目をつぶりたくなるような終わり方は、意外でした。


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読んだ本TB:0CM:0
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