常世国往還記

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人はいつも謎

2004/07/25(日) 00:02:58

イノセント(book)
イアン・マキューアン著(1990年)宮脇孝雄訳 早川書房(ハヤカワ文庫)1992年



米ソ占領下のドイツで、米側が諜報活動のための地下トンネルを掘った実話がもとになっています。なにも知らずに派遣されたイギリス人技師のレナード青年が、なにやら非合法な仕事にかかわるはめになり、確たる事実がつかめない状態でいろんな災難に遭遇するお話。
ちゃんと冒頭にカフカの 「城」 の抜粋を載せてくれてます。お蔭で元ネタ探しをしなくて済みますね(笑)。
だけど、マキューアンのこういう妙に行き届いたところが、いささか苦手なんですよね……。



「秘密が人間を成熟させる」 というアメリカ人グラス氏の意見に賛同するかどうかはともかく、この物語は最初から最後まで秘密だらけ。
国家の秘密、個人の秘密、男の秘密、女の秘密……。

童貞でナイーブな主人公レナード君も、やがてたくさんの秘密に気付き、また彼自身もたくさんの秘密をかかえることとなります。しかし、その本質にいまいち迫ることができず、最後まで秘密は秘密のまま。読者は作者の意地悪なほのめかしから、真実を想像するしかありません。

奇妙なことに、この物語の中の人間関係は、間に秘密がある間は円滑なのに、その秘密を共有したとたん、不快なしろものに変質してしまいます。
レナードと謎の女性マリアの束の間の恋も、ある強烈な秘密を共有することで消滅してしまいます。

やがてラスト近くで老境にさしかかったレナードとマリアは再会しますが、レナードが夢想するように、二人の関係が復活することがあるとすれば、それは、ほんとか嘘かわからないマリアの告白を彼が信じたからではなく、かつての恋人たちの間にふたたび長い秘密の年月が横たわったためではないでしょうか。


手が届くようで届かない、不確かな情況を描いたこの作品中、唯一「これぞ掛値なしの現実!」と言える部分は、もう、とんでもない描写 ( 「死体と暮らす一人の部屋」 あたりが参考書のひとつに違いない )。
こういうのはホトホト苦手。こんな現実ならはっきり教えてもらわなくてもけっこうでございます。
巻末解説によると、この手の悪趣味がマキューアン初期作品の十八番だそうです。
とほほ。

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