常世国往還記

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もう一人の僕

2004/07/18(日) 23:51:49


寄生獣.jpg


寄生獣―完全版(comics)
岩明 均 作(1990年~) 
講談社(アフタヌーンKCDX) 2003年
高校一年生のシンイチ君は、ごく普通の一家の一人っ子。おっとりと優しい専業主婦のお母さん、マスコミ関係で働くお父さんの愛情を一身に受けて育ち、ちょっと晩生で臆病なところはあるけれど、明るく素直な普通の高校生だ。最近気になる女の子が現れた。あっちもけっこう気があるみたいだけど、なんだか恥ずかしくてもう一歩踏み込めないでいる。

こんなありふれた日常生活に、ある夜突然闖入してきたミミズみたいな生き物。
その奇妙な虫はシンイチ君の右腕にもぐりこみ、肘から先をそっくりのっとってしまった!




寄生獣ミギー (仮称?) は、どんな姿にも変身することができるので、普段はシンイチ君の右手に化けていますが、人の見ていないところでは正体を現し、シンイチ君の驚愕をよそに勝手に言葉を覚え、共生生活に順応してゆきます。子どもっぽくてのんきなシンイチ君と違って、理性的で勤勉なミギーは、本やテレビを通してあれよあれよという間に人間社会に通暁し、気が付くとシンイチ君のよい話し相手になっていました。
異常な状況ながら、兄弟のよう (ただしミギーがお兄さん) にほのぼのとした関係を暖めてゆく二人でしたが、そのころ世間は大変なことになっていました。ミギーと同類の寄生獣に頭部をのっとられた人々が、体まるごと寄生獣と化し、人間を捕食しはじめたのです。
人間並みの知性と強烈な攻撃力を持ち、見た目は人間そっくりなのに感情を持たず、なんのためらいもなく 「餌」 めがけて襲い掛かる彼らに、無防備な人間たちはなすすべもなく食われていきます。

やがて、シンイチ君の周囲にも出没するようになった寄生獣たちは、同類の癖に 「出来損ない」 のミギーと宿主のシンイチ君を敵視し、次々に襲い掛かります。ミギーとシンイチは、自分たちの身を守るため、力を合わせて立ち向かうのでしたが……。


児童文学が避けてきた人間の攻撃性 (暴力) の問題を、これくらい鮮やかに、しかもあざとくなく描いた物語は、小説にもなかなか無いのではないでしょうか。
思わず目をそむけたくなるような残酷なシーンに、アレルギーを起こす方も多いのではないかと思いますが、テーマがテーマだけに、強烈なスプラッタは表現としてむしろ適切と感じられました。少なくとも、作者に 「残虐性」 を面白がったり楽しんだりする不健康な姿勢は一切ありません。

攻撃性は、しばしば他人を否定 (破壊) し、優位に立つための暴力ともなりますが、肉体的・精神的に自分を高める力の源泉でもあります。
個対個の暴力にとどまらず、大人対子ども、集団の暴力、人間社会の暴力、権力による暴力、そして、形の上ではそれらと似ていながら、実は対極にある病的な暴力の発露。
シンイチ君の地獄めぐりを通して、個人や社会における攻撃性の多様な形態を描き、それを単純に否定せず、人間の原罪として認めた上で、プラスのエネルギーに昇華するヒントまでも示唆した、たいへん優れた教養マンガ (そんな分野があるのか知らんが) です。

思春期に突如生じた未分化の力としてのミギーと、急激な心身の変化。母子分離における危機的状況、性欲、動物的なパトスとも言うべき純粋な"力"への憧れなどなど、自分の内部のさまざまな混乱と葛藤を経て、シンイチ君が真の自己同一性を獲得する結末もみごと。

長編連載ものですが、最後まで緊張感を失いません。

きっと学校やPTAは嫌がるだろうけど、中高生の、特に男の子に絶対のおススメ。
自分の中の、イライラ、モヤモヤについて、じっくり考えてみるきっかけになると思うよ。

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読んだマンガTB:0CM:0
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