常世国往還記

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どこかで聞いた話

2004/07/10(土) 02:27:02


サッチャー時代のイギリス―その政治、経済、教育(book)
森嶋通夫著 岩波書店(岩波新書) 1988年


元祖痛い、じゃなかった痛みを伴う改革の断行者、イギリス首相マーガレット・サッチャーの功罪、というより主に「罪」のほうを検証したもの。

イギリスの政治にも歴史にも、高校世界史以上の知識を持たない私には、この著者の主張を批判する材料がありません。
サッチャーの首相就任時には、女性の地位向上の象徴と喜びましたし、一連の改革も、額面どおり、行過ぎた福祉政策によって疲弊した国庫を建て直すための大英断と、肯定的に受け止めました。

しかし、少し考えれば、彼女の政策の強行によって、大量の失業者が生まれ、社会的弱者にもろにしわ寄せがいくことは、火を見るより明らかです。彼らが、先進国の市民とは思えないほどの困窮と絶望に追い込まれていった様子は、「リトル・ダンサー」をはじめ、近年発表された多くの映画作品に見ることができます。

この著作に見る、近い過去にイギリスがとった行き方は、現在わが国の政権が向かおうとしている方向に重なる部分がかなりあります。






要は、どちらも「小さな政府」を目指し、国庫の支出を縮小するために、余計な支出の削減に向かうのですが、現政権が考える「無駄」の中には、国というものの本質に関わる部分が少なからず含まれているように思います。

「小さな政府」化にとっては矛盾でも、儲からないからこそ国が引き受けなくてはならない仕事があるのではないか。そして、そのような仕事のためにこそ、国というものが存在すべきではないでしょうか。
めったに使われない一本の道路が、ほとんど利用されない郵便ポストが、地域の、あるいは個人の、運命を変えることがあるかもしれません。

明治政府の発足当初、要不要の議論がありながらも、近代国家の形成途上で営々と築いてきた多くのものの上に、今日の我々の生活が成り立っています。無駄を覚悟で取り組んでいなければ、今の日本は無かったことでしょう。

不採算部門即不要という、私企業の論理は、国家には馴染みません。


最も不安なのは、国立大学の法人化です。著者が嘆くのと同様の改革が、わが国でも進みつつあります。当面の役に立たない研究、儲けにつながらない研究は、この先どんどんなおざりにされてゆくでしょう。
しかし、果たしてニュートンの万有引力の研究に資金提供する企業が当時存在したでしょうか? 
多くの学問的発展は、何の役に立つかもわからない「無駄」や時には失敗の上に築かれています。何が「無駄」で何が「有益」であるか、千里眼でも無いことにはとうてい見極めることなんてできません。

「無駄」のない精神文化はやせ細り、独創性はますます失われていくでしょう。

実力でのしあがったサッチャー率いるイギリスに比べ、なお一層悪いことに、この国では二世・三世議員が政権の中枢に大挙して居座り、既得権益の維持に心を砕いています。親の資産を引き継ぐ彼らにとっては、福祉も年金も、どうだって良いのです。
消費税の税率アップなんて、細かいことです。100円や200円、たいしたことないじゃないか。ごはんがなければお菓子を食べたらいいのです!

絶妙のタイミングで曽我/ジェンキンス・カードを切り、10年前だかの事件を蒸し返し、自民党批判の選挙の話題はすっかりどこかへいってしまいました。現政権だけが取れる特権的「選挙対策」を次々に繰り出すさまは、まさにサッチャー政権長期化のからくりとそっくり同じです。自民党が勝てば、改憲も避けられないでしょう。
この国はどこへ行くのでしょうか。






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