常世国往還記

本と映画のノート



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリー

最新の記事

過去ログ

ブログ検索

FC2ブログランキング

RSSフィード

プロフィール

かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
日記もちょっとだけ。








ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

近世の医療

2007/06/05(火) 16:01:09

疫病(ハヤリヤマイ)と狐憑き
   ―近世庶民の医療事情

昼田源四郎 みすず書房 1985年

はしかの流行が騒がれている今日このごろ。私が子供の頃は、小学校・幼稚園でのはしか騒ぎは日常茶飯事でしたので、大した病気とも思っていませんでしたが、この本で「疱瘡は器量さだめ、麻疹は命さだめ」という近世のことわざを、久々に思い出しました。昔は大人でも死んじゃう病気だったんですね。
今、はしかで怖いのは、予防接種前の乳幼児、それから稀に大人もかかる脳炎といったところ。深刻な難病です。死に直結することが少なくなったとはいえ、やはりなめてはいけないようです。


奥州守山領(現福島県郡山市)の、江戸中~末期の公務記録「御用留帳」中、医療に関する記載を拾い出して丹念に分析した著作。
精神科の医師でもある著者によって、専門的な解説も加えながら、明治以前の地方社会における医療事情が活写されます。

東北の寒村のこととて、飢饉・流行病、また貧困に伴う間引きの悲惨や、おまじない程度の貧しい医療技術などは、おおかた予想通りですが、その一方で、医療従事者の数が、今日の基準に照らしても十二分であることや、精神病者への人道的な配慮など、「実はそうだったのか!」と驚くような意外な事実の数々。何事も思い込みはいけません。

殊に詳しいのは、著者の専門である精神医療の分野ですが、その中でも、心神喪失状態での犯行については、殺人を含め、本人の責任を問わなかったことなど、西欧医学の普及以前に、早くも近代的な精神病観が発生していたことは、特筆に値するかと思います。
被害者への同情のあまり、感情的に結果責任を問い、報復刑の発想へ傾きがちな現在、あらためて見直すべき歴史的経緯ではないでしょうか。

衛生指導や、他出中の病人の取り扱い、牢内の医療、少子化ならぬ間引き対策等、封建制のもと、「生産力維持のために農業従事者数を確保する」という、為政者のご都合主義的な側面があるとはいえ、領民保護の立場から、少なくとも形の上では、近代的な人権擁護に近い施策が行なわれつつあったことがわかります。
明治期における爆発的な西欧思想の普及は、維新以前の基盤あってのものだったのですね。

スポンサーサイト
読んだ本TB:0CM:0
<< カルト集会に参加するホーム全記事一覧虹の彼方に >>

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://segrokamome1.blog27.fc2.com/tb.php/378-a98f6f0d

Copyright(C) 2006 常世国往還記 All Rights Reserved.
template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。