常世国往還記

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死の夢をさまよう

2007/05/21(月) 18:38:10

血のささやき、水のつぶやき(book)
パトリック・マグラア 宮脇孝雄 訳
河出書房新社 1989.11

一時代前の小説のような、美文調をまじえた古風な趣の奇談集。
怪奇も謎も、すべて現実と夢(もしくは妄想)のあわいに漂い、確かなものは何も残らず、読む者を中空に置き去りにします。


天使: 売れない作家の「私」は、裏町で、いわくありげなゲイの老人と知り合う。彼は、若き日に出会った「天使」について語りだすのだったが…。
天人五衰の悲劇。ガルシア=マルケスの天使もひどい扱いでしたが、これはまた更に。く、臭い。

失われた探険家: 孤独な少女の秘密の友人。先の「天使」の流れで、主人公イヴリンの童心の喪失ととるか、あるいは彼女自身が探検家になりかわったと見るか、最後の読み方は分かれるところでしょう。

黒い手の呪い: 「インドへの道」のヒロインの脳内。異文化間に立つストレス、といっても、IT大国インドで、今どきこんなことを言っても始まらないけれど。

酔いどれの夢: 創作に悩むアル中画家の堕落。設定は古臭いですが、この作品集中最も現代的な短編。場末の風景が、悪と罪の心象へと転化していく過程を、まったりと綴っています。

アンブローズ・サイム: ある男の末路を、デッサンのように詳細な客観描写で。滑稽とグロテスクのないまぜになった、ブラックユーモア。

アーノルド・クロンベックの話: 若い女性記者による、連続殺人犯の死刑直前インタビュー。いや、まあこれは普通にやばいだろと思ってたら、案の定…。「ライフ オブ デビッド・ゲイル」のさかさまみたいな話。

血の病: 探検調査中にマラリアにかかり、九死に一生を得た人類学者が、めでたく帰国したんだけれども……おいおいおいおい、どこへいくんでしょうか、この話。まごまごしているうちに、畑の向こうに消えてった。

串の一突き: 自殺した孤独な叔父をめぐる謎。精神分析ネタをビシバシとコラージュしています。語り手の怒りもごもっとも。主治医がボンクラだと思う。分析そのものは当たってるのに、なんで気がつかないかなー。
精神分析の露悪趣味を皮肉った一編。

マーミリオン: 朽ち果てた屋敷にまつわる悲劇の伝説。「黒猫」やら「アッシャー家」やら、ポオのモチーフがいっぱいです。ゴシック・ホラーかと思いきや……。人間やめますか?

オナニストの手: クラブ「バビロニア」で巻き起こった罰当たりな騒動。この手が悪い。この手が憎い。聖書をネタにした2ちゃんねる的悪洒落。

長靴の物語: 核の時代の童話。閉塞した地下の箱舟における小家族の崩壊物語。

<蠱惑の聖餐=凄惨>: 「長靴の物語」の姉妹編です。人類の滅亡によって生まれる新世界。原題は腐敗とエロチシズムをひっかけた洒落で、神様はおりませんが。それはそうと、アリアドネは蜘蛛じゃなかったっけ?

血と水: 旧家を見舞う悲劇。正常と異常、正気と狂気、幻覚と現実が、合わせ鏡の像のように映し映される、混沌と理性の敗北。
ここに出てくるブロードムーアは、作者の父が医師として勤めていた精神病院とのこと。主人公の描写がやけにリアルですが、父上の患者さんがモデルでしょうか。

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