常世国往還記

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敗軍の将の不在

2007/05/18(金) 22:17:59

検証 戦争責任〈1〉
読売新聞戦争責任検証委員会
中央公論新社 (2006/07)

二巻本の体裁ですが、続き物ではありません。
大東亜戦争全体にわたる、タイトルに沿った内容は(1)で、(2)はもっぱら個々の事実について、「敗戦責任」を批判したもの。おそらく(1)(2)それぞれ、別の時期に新聞紙面で連載した特集記事をまとめたのでしょうが、重複する部分も多く、やや冗長に感じられます。全部ひっくるめて編集しなおしてもらいたかったところです。

全体に、これまで刊行された種々のテキストのおおまかな総ざらえで、研究書といえるほどの深さはなく、物足りない反面、万人向けで取っ付きやすいのがいいところかもしれません。
特に(1)は、文体も中身も歴史教科書に毛の生えたレベル。「検証」を期待して手に取るとがっかりするかもしれませんが、さらっと全体を俯瞰するにはまずまずでした。

一読して思うのは、「責任」とは、検証したり研究したりするものではなく、誰かが取ったり取らされたりするものだろうということ。「検証」すれば、「責任」はどんどん拡散し、その所在は不明になってゆくばかりです。
誰かが取るのでなければ、「責任」は存在しないも同然です。
ドイツやイタリアでは、ヒトラーなりムッソリーニなり、事の中心にあった人物が死んでくれて、「責任」の問題が単純化されました。彼らを「責任」の中心に据え、あとはそこからの距離で軽重を計ればよかったからです。
彼らが戦後も生きていたら、(もちろん死刑にはなったでしょうが)いろんな条件が勘案されて、責任問題はもっと紛糾したのではないかと思います。彼らがどこまで独裁的であったのか、現在考えられているほど、すべての面において独断的に裁定していたのか、今となっては誰にもわかりません。

結局、戦争裁判はあったものの、日本では最終的に誰に責任があるのか分かりませんでした。事実がどうであったにせよ、また、自身がどう考えていたにせよ、天皇も一切責任を取ってこなかった。
そのために、部分的な責任ばかりが焦点となり、国民を含めた当事者全員にとって、戦争の発生も推移も、何か他人事のようです。そんなことから、靖国の合祀があいまいな基準のまま行なわれてしまったのではないかと思います。
個々の事象を掘り下げていけば、(1)巻末のシンポジウムにおける櫻井女史の発言に見るように、「日本だけが悪いんじゃないもん!」という話になるに決まっていて、それは史的研究においては正しい態度であっても、現在まで尾を引いている「戦争責任」問題を考えるにあたっては、全く意味をなしません。
同様に、個々の事実を洗い出して、個別の「責任者」を認定しようという本書の意図も、それほど意義のあることとは思えないのです。
スーパーバイザー気取りで、政府や軍関係者を弾劾したり、戦争の名称変更を提案したりする暇があったら、メディア自身の「戦争責任」を、自ら詳細に分析するほうが、よほど将来のためになったでしょう。

それにしても、これほど痛い目にあっていながら、日本というのは、懲りない国です。
アメリカの傘下という特殊条件を忘れて、飛躍的な経済発展を自力だけでなしとげたように思い込み、一部の私企業の成功を、国全体の快挙と見なし、借金まみれで食糧すら自給できないくせに、先進諸国と肩をならべたと勘違いしてる現在。
局地戦で一つふたつ勝ったくらいで舞い上がって、欧米に対抗できると考えた開戦当時と、精神的には大して変わっていないような気もします。
中国やインドが伸びてくるのは当然。彼らはもともと「持てる国」なのだから。あらゆる面で抜かれるのは時間の問題でしょう。辺境の小国・日本は、彼らと同じ土俵で対抗し、優位に立とうなどと無駄なことを考えず、たとえばシンガポールや、世界の金庫番スイスや、北欧諸国のように、堅実な独自の道を選ぶ冷静さを持つべきなのでは。
とはいっても、アキバ立国はちょっと願い下げだけど…。でも、それしかなければ仕方ないのかなあ。

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