常世国往還記

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悪夢をめぐる旅

2007/04/22(日) 17:34:45

4102160191サイレント・ゲーム(上)(下)(book)
リチャード・ノース パタースン 後藤 由季子訳
新潮社 2005-10

by G-Tools


サンフランの売れっ子弁護士トニーには、暗い過去があった。
片田舎の町、レイクシティで過ごしたハイスクール時代、恋人のアリスンが何者かに殺害され、第一発見者である彼に容疑がかかったのだ。ラヴィン弁護士の助けで、起訴はまぬがれたものの、真犯人はあがらず、事件はすっきり解決しないまま、彼は人々の疑惑の目に追われるように町を去る。
その後、二度とふるさとを訪れぬまま、長い年月が流れ、当時の自分と同じ年齢の息子をもつ父となった彼に、突然、当時の親友サムの妻スーから、依頼の電話が入った。現在、母校の教頭を務めているサムに、あろうことか、教え子殺害の容疑がかけられているというのだ。
二人は、事件以来のけ者になっていたトニーに、最後まで友情を示してくれた、数少ない友達。その上スーとは、アリスン亡きあと、友人以上の関係だったこともあった。
スーとサムを助けるため、そして、自らの過去を清算するために、トニーは28年ぶりに、因縁のレイクシティに向かう。


子供の眼」では、もっぱら法廷描写が見事で、人間を書くほうはうまくないなあと思ったパタースンでしたが、この小説は一転して、心理劇のようです。
第一部では、トニーの青春時代の記憶、そして、彼のその後の人生の通奏低音となった事件を、第二部では、サムの起訴に至るまでのトニーの調査や、検察との駆け引きを丹念に追います。法廷に入る前から、既に裁判は始まっているのですね。例によって、あちらの裁判制度のお勉強にもなります。
第三部は、いよいよ法廷劇。検察との丁々発止のやりとりを描いて、スリリングな展開です。そして、終局となる第四部。これは、裁判の後日談にあたりますが、ここに至って遂に、原題「Silent Witness」(物言わぬ目撃者)の意味が明かされます。

トニーとサム、それぞれの事件は解決するのか、真犯人は現れるのだろうか、という興味とともに、十代の切ない思い出、未熟ゆえに無垢で一途な情熱や葛藤のほほえましさと哀しさ、小さな田舎町の小さなコミュニティと、そこに生きる人々の移り変わりなど、事件の背景が活写され、思わず引き込まれます。
ここには、絵に描いたようなヒーローも、完全な悪役もいません。どこにでもいそうな、平凡な登場人物の一人ひとりが、細かく彫り上げられ、リアルな存在感を持っています。
誰も―トニーさえ―完全な善ではありえず、憎むべき悪意もまた、苦しみや悲しみにつつまれているのです。

プロテスタントとカトリックの宗派対立や、人種問題など、「そこそこ豊かで平和なベッドタウン」の陰に見え隠れする瑕疵。犯罪を生み出す原因の一端をになう社会的な環境についても、作者のしっかりしたまなざしが感じられます。
ウォーの「この町の誰かが」と似ていますが、より深く、より現実味を帯びて、読後に何ともいえない余韻が残りました。


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