常世国往還記

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ウォーターランド (book)

2004/06/10(木) 14:42:23

ウォーターランド

ウォーターランド
グレアム・スウィフト著 真野泰訳
新潮社(新潮クレストブックス) 2002年

水郷を舞台に繰り広げられる、永遠回帰の物語。
単なるエンタテインメントとして楽しむこともできます。映画化作品(未見)は、この小説のミステリの部分に焦点を当てて作られたようです。
しかし、ミステリとしては、簡単に結末が読めてしまうため、特別出来のよいものではありません。当たり前です。そんなもののために書かれたわけではないのだから。

とはいえ、過去・現在、世界・個人、(そして水と陸)、異質なものの間を恣意的に、と見せて実は綿密な計算に基づいて移動して行き、落ちつき先の見えにくい物語世界は、人によって好き嫌いが分かれそうですね。
私ははまりましたが、それでもちょっとやり過ぎだよという気がしないでもない(笑)。





「子供たちよ」
繰り返し繰り返し、呪文のようにあらわれる呼びかけを口切りに、個人的な事情でリストラ寸前の歴史教師トムは、輪廻する歴史の原理を生徒たちに向かって語りかけます。

わたしたちを取り巻く「今、ここ」。触れることができる唯一の時間。しかし、それは水の流れのように、絶え間なくてのひらから漏れ落ちてしまう。「今、ここ」に立つ私たちには、時間がどこへ流れてゆくのか予想できない。

遠く過ぎてしまったそれを、切り取り、風化させ、物語につむぎ上げ、そしてようやく理解しようとする絶望的な努力の跡が、すなわちこれまで書かれてきた、あるいは我々が理解している(と思っている)歴史である。
フランス革命のように、人類の時代を画する大事件も、個人の生活で起こるちいさな悲劇も同じこと。人間は「いま、ここ」でもがき、見えない明日におののき、過ちを繰り返す。

アダムとイヴの犯した罪。カインとアベルの反目。生け贄、洪水、そして神の見えない手が、イエスに罪を負わせ、天に召しかえす。
水から生まれた生命は、水のなかのふるさとに帰る。
神話の時代から現代まで、人間はうなぎのように、逃れよう逃れようとしても、まるで本能のように、いつももとの場所へと戻ってしまう。

核の時代にあって、青ざめた死の影を宿す若い世代。失った我が子の投影でもある彼らに向けて、トムはさまざまな歴史の罪と罰を布教しようと試みます。逃れ難い輪廻を脱し、明日への正しい選択が実現することを願って。
それが、彼の犯した罪と、彼の永遠の十字架=バイクの影に対する、終わることの無い贖罪なのでしょう。
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