常世国往還記

本と映画のノート



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カテゴリー

最新の記事

過去ログ

ブログ検索

FC2ブログランキング

RSSフィード

プロフィール

かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
日記もちょっとだけ。








ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

君主物狂い

2006/12/28(木) 15:51:26

ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター
ルートヴィヒ 復元完全版(cinema)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、
トレヴァー・ハワード
1972年 仏独伊
posted with amazlet on 06.12.21


十代の若さで即位したバイエルン国王ルートヴィヒの耽美的な生涯を通して、古き良き貴族文化の没落と死を描く、絵画的な美しさに満ちた作品。
このあいだBSでやっていたヴィスコンティ特集で見逃してしまったもの。まあ、テレビはどうせ短縮版でしょうから、完全版を見てよかったです。

ルートヴィヒ王に関しては、以前「狂王ルートヴィヒ」という、たいへん面白い伝記を読んだので、だいたいの話は知っていましたが、近代への移行期に、戦争や政治を嫌い、臣下の諫言も聞かずに、一種の懐古趣味に逃避したあげく、地位を追われ、非業の死を遂げた悲劇の王様、というのは、まさに、時代に適応できない人物像を得意とする、ヴィスコンティ好みの素材ですね。

伝記が、王の狂気の真偽と、死の謎をクライマックスにしたミステリ小説のような趣であるのに対し、映画作品は、人間ルートヴィヒの生き方に焦点を合わせ、視覚的な仕掛けを凝らしながら、時代との落差を執拗に描写しつつ、理想と現実、美と日常、精神と肉体、芸術と政治、近世と近代など、さまざまな対立を浮き上がらせます。

すべてのショットが端然と絵のように美しく、きらびやかで幻想的、そしていかにも金のかかった作り。あたかも監督自身がルートヴィヒと一体化しているかのような、凝りに凝った画面構成の一方で、脚本では、主人公にあくまでも冷静かつ皮肉な視線を注いでいるのが興味深い。
有名な、“白鳥の湖”の場面の芝居がかった所作は、まさに滑稽そのものですし、じっさい、ルートヴィヒの「片恋の相手にして理解者」という設定のエリザベトには、彼の渾身の“作品”である、豪華絢爛の大広間を見たとたん、あまりの馬鹿馬鹿しさに爆笑する、という、残酷とも言える反応をとらせています。

笑い飛ばすために、これだけ金のかかったセットを…と思うと、出資者としては笑うに笑えないというか、泣くに泣けないというか、どんなもんだろうと思わなくもありませんが、この贅沢は、むしろワグナー的芸術至上主義なのでしょう。

歴史の奴隷でありながら、近代的な自我を持ってしまった君主。芸術に憧れつつ、芸術家にはなれず、かといって、過去の時代のようなパトロンにも徹しきれず、愛を夢見て、愛に満たされず、理想は高くても現実に活かせない。すべてに中途半端で、いつも傍観者であるほかなかった不幸な人物。
ヘルムート・バーガーは熱演ですが、前半はいいけれど、その清潔な美貌が災いして、後半の落魄ぶりが表現しきれていないのが惜しい(確か、デブデブに肥満した上に、自堕落な生活が祟って、まるで別人のように容貌が崩れてしまったのでしたよね)。

それにしても、ヴィスコンティの映画って、名優をふんだんに使いながら、彼ら自身の個性をほとんど表に出さないのが凄いと思う。これだけ美形で演技も出来るバーガーを見ても、彼個人への興味ってあまり湧いてこないし、完璧な貴婦人を演じたロミー・シュナイダーなんて、エンドクレジットでやっと気がついて、ああ、そうだったのかって感じ。俳優は作品の奴隷なんですね、いい意味で。





 
スポンサーサイト
見た映画(DVD)TB:0CM:0
<< アカデミー賞雑感ホーム全記事一覧絵画療法 >>

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://segrokamome1.blog27.fc2.com/tb.php/323-48649195

Copyright(C) 2006 常世国往還記 All Rights Reserved.
template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。