常世国往還記

本と映画のノート



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読書と映画の鑑賞記録。
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愛と誠

2006/09/05(火) 17:04:54

ブライトン・ロック
グレアム・グリーン著 / 丸谷 才一訳
早川書房 (2006.6)
通常24時間以内に発送します。

海辺の行楽地ブライトンで、ブン屋のヘイルが死んでいるのが見つかった。
検死の結果は自然死。しかし、たまたま死の直前まで一緒だったアイダは、彼が何者かを恐れ、死を予感している様子を目にしていた。ひょっとしたら自殺か、あるいは…。だが、何故か誰も彼女の話に取り合ってくれない。義憤にかられたアイダは、私費を投じて自ら調査を始めた。
疑わしいのは、ヘイルをしつこく付けまわしていたピンキーと呼ばれる若いチンピラヤクザだが、彼には鉄壁のアリバイがある。ところが、安食堂のウエイトレス、ローズは、アリバイの現場を目撃し、かすかな疑念を抱いていた。
ローズの口をふさぎたいピンキーは、計算づくで彼女をたらしこむ。若く貧しく孤独なローズは、手も無く愛の罠に落ち、心から彼を愛するようになるのだが…。


悪党と聖女の純愛。
この種の恋愛ものの原型となった小説ですが、よくある大衆小説のように簡単な話ではありません。

悪党のピンキーと純情可憐なローズ、一見正反対の二人は、この物語の世界の中では、一枚の紙の表と裏のように、きわめて似通った存在でもあります。
二人とも同じ貧民街で生まれ、愛を知らずに育ち、穴倉のような場所から陽の当たるブライトンにさまよい出てきた寄る辺ない子供。この共通点が、ピンキーのローズに対する嫌悪と共感のいりまじった複雑な感情や、ローズのピンキーに対する盲目的な信頼と忠誠を生み出しています。

汚れすさんだピンキーとて、まだ17歳の少年なのです。
この殺人さえ辞さない悪魔のような少年は、大人顔負けの狡猾さと、駄々っ子のように場当たり的な無鉄砲さをあわせ持ち、年長の仲間たちをリードする一方で、大人になることを怖れ、性的なものを嫌悪するという、奇妙に子供じみた潔癖さをもっています(したがって、ローズとの関係も、予想に反して非常にプラトニックなものです)。
彼の“悪”は、悪は悪でも、対立組織の親分であるコリオニなどとは全く違い、不遇な運命に対する子供らしい“怒り”に近い。事の起こりとなった犯罪だって、親代わりだったカイト親分のあだ討ち。彼自身にとっては、悪どころか至極正当な行為であるわけです。

この単純な幼い正義感は、そっくりそのまま、ピンキーをかばいぬくローズにも当てはまります。
彼らは背中合わせにぴったりとくっついて、コリオニやアイダの「大人の論理」に立ち向かう。正義の味方のアイダですら、彼らにとってはかたき役です。
世間的な欲も得も無く、ただ自分自身の魂だけに従って行動する純粋さ、危うさ、そしてもろさが、ローズはもとより、憎まれ役のピンキーに対しても、つい感情移入してしまう理由でしょう。
しかし、ピンキーの犯した罪は、新たな罪を呼び込み、彼らは次第に追い詰められてしまう。

原罪、救済、復活。
およそ神様とはかけ離れた、悪と罪の織りなすサスペンスフルな伏線の上に、(最後の最後で)グリーンらしい宗教的なテーマが展開します。

“ブライトン・ロック”とは、ブライトン名物の棒飴のことだそうで、この“子供のお菓子”が随所に印象的な小物として使われます。甘いだけではない凶器(なめてんじゃねえよ)。
地の文では、終始名無しの<少年>である“ピンキー”は、若さが陥りがちな危険と過ちの普遍的な表現なのでしょう。


 
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コメント
きょうありすがあ
きょうありすがあだ討ちに計算したの?
だがブライトンまで早川書房は移入するつもりだった?
ところがきょうはブライトンで早川書房が運命味方したかったの♪
BlogPetのありす #-|2006/09/13(水) 13:17 [ 編集 ]
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