常世国往還記

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アイリス(cinema)

2004/06/02(水) 16:57:20


アイリス
監督:リチャード・エアー 2001年
ジュディ・デンチ、ジム・ブロードベント、
ケイト・ウィンスレット、ヒュー・ボネヴィル
高名な哲学教授であり、小説家としても世界的に有名なアイリスは、著作に、講演に、講義に、毎日多忙な日々を過ごしていた。ところが、いつの頃からか、講演中に言葉につまって何を話しているのかわからなくなったり、執筆中に続きが書けないことが増えてきた。病院で受診した彼女に、医師は「アルツハイマー症」との病名を告げる。それは、彼女の精神に対する死の宣告だった。

出会った初めの頃から今も変わらず妻を熱愛する夫のジョンは、彼女の絶望を受け止め、他人を嫌がる妻の面倒を自分ひとりで見ようと決心する。しかし、自分自身の著作のかたわら、徐々に子供に還っていくアイリスの日常生活をサポートするのは、老境にさしかかったジョンにとって、並大抵のことではなかった。

物語は、ジョンの苦闘ぶりと、二人のなれそめのころの、痛々しいほど美しい日々を、交互に映し出します。
才媛で、活発で、手の届かない女性だったアイリスに片思いのジョン。彼女が奇跡のように彼に振り向き、他の魅力的な男性たちを尻目にぐいぐいと彼の心に踏み込んで、内気な彼の世界を開いていった夢のような若い時代。このかけがえのない記憶がアイリスとジョンの闘病生活を支えるのでしたが……。





学生時代、マードックに凝った時期がありまして、あまり翻訳がなくて苦労しました。名にしおう才女の文章ですから、英文学専攻でもない自分にとって、原書はかなり荷が重かった。
飽きたというより、読めそうなものがなくなってしまったため、やむを得ず手を引いた記憶があります。

ときどき、「ユニコーン」なんかは思い出したように再読していましたが、マードックの存在自体ほとんど忘れかけていたころ、新聞で死亡記事を読みました。
あまり詳しい内容ではなかったので、ああ、亡くなったか(わりと早死に?)とさしたる感慨も無かったのですが、裏にはこんなドラマがあったのですね。

絢爛たるアイリスの精神世界が次々に失われていくさまは壮絶です。あれほどの知性が、最後には赤子のように夫に抱かれて、わけのわからない不安だけを訴えながら消えてしまうのです。それがどれほど無残なことか、誰よりもよく分かっているだけに、夫の苦しみは一層深刻です。

夫君ジョン・ベイリーの 作家が過去を失うとき―アイリスとの別れ〈1〉」愛がためされるとき―アイリスとの別れ〈2〉」(朝日新聞社)を映画化した作品。
原作は、マードックの研究者にとっては格好の資料ですが、少々煩雑だし、時間的な行ったりきたりが頻繁なので読みにくく、一般読者にはちょっとつらいです(上巻で挫折)。

映画のほうは、お話のわかりやすくていいところだけをうまく掬った感じで、きれいにまとまっています。

晩年のマードックを演じたジュディ・デンチはともかく、娘時代のケイト・ウィンスレットは美人すぎますが(笑)、まあ、夫君ビジョンということでしょうかね。
ウィンスレットは、「タイタニック」で娯楽の女王みたいな感じのスタートを切りましたけれども、その後「クイルズ」など、文芸路線が多いようです。本作でも、知的で破天荒な、生きのいい美人(だから本物は美人じゃないんだってば)の感じがよく出ていて、魅力的でした。

ところで、イギリス文学界の寵児だったマードック女史の壮絶な死の記録として、この著作は本国でたいへんな評判を呼んだに違いなく、アルツハイマーと知性の問題について、おそらくいろんな人たちがいろんなことを言ったのでしょう。
そのことをネタに使ったとんでもないコメディ(!!)が、マキューアンの「アムステルダム」です。よく読むと、マードックへのオマージュと取れなくもない、かも、しれないです……が。





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見た映画(DVD)TB:0CM:0
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