常世国往還記

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相対と不定の世界で

2006/08/24(木) 16:43:41

ケルベロス第五の首
ジーン・ウルフ 柳下 毅一郎訳
国書刊行会 (2004/07/25)

どこか地球外の双子の惑星を舞台にした「ケルベロス第五の首」「ある物語」「V・R・T」の三部から成る小説。第一話では、不思議な館で暮らす少年の語りを通じて、物語世界全体の構成がほのめかされ、第二話は、もう一方の惑星に展開する、十代の少年の(たぶん)通過儀礼的な体験が、神話か民話のように象徴的に描かれ、第三話では、第一話の後半でほんの端役として登場する、地球からの“旅行者”の男が囚われ人となるさまを描きます。
一応、SFに分類され、それらしい設定や用語は散りばめられていますが、もとより科学読み物ではなく、かといって、能天気なファンタジーとも言えず、パズルのように複雑怪奇な、一種の実験小説であろうかと思います。

登場人物も場所も、すべてどこかでつながっています。
あそこはここであり、私は彼であり、彼はあなたである。父は私であり、今日は明日であり、明日は過去である。人間と動物どころか、生物と無機物の境界さえ、徐々に希薄になり、やがて消えてしまいます。
SF的設定は、それ自体が目的ではなく、ただ単に、馴染み深いこの世界(地球であるとか自我であるとか社会であるとか)の原理原則から解き放つための方途でしかないようです。

何一つ確かな形をもたず、あいまい模糊とした状況を、破綻も矛盾もなく(しかも読みやすく)文章化するという、驚異的なテクニック。作品そのものが一個のミステリです。非常にスリリングな読書体験で、満足感もあります(おなかいっぱい)。きっと近いうちに再読もするでしょう。

しかし、この小説が好きか、と聞かれれば、首をひねります。
美事な工芸品。でも、たぶん芸術ではないんですよね。これほど手の込んだ小説世界を構築しながら、ガルシア=マルケスやエリアーデのように、独特の世界観や思想に発展する気配はありません。結局、巧緻なエンターテインメント(とてもよくできたゲーム)にすぎないのかも。
読書に何を求めるかによって、評価の分れる作品ではないでしょうか。

 
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