常世国往還記

本と映画のノート



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリー

最新の記事

過去ログ

ブログ検索

FC2ブログランキング

RSSフィード

プロフィール

かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
日記もちょっとだけ。








ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

中世の悲劇

2006/08/07(月) 18:45:43

エミリー・ローズ デラックス・コレクターズ・エディション
エミリー・ローズ(cinema)
監督 スコット・デリクソン
ローラ・リニー,トム・ウィルキンソン,
ジェニファー・カーペンター
2005年 アメリカ
posted with amazlet on 06.08.05


地方の小さな農場で、一人の女子大生が凄惨な死をとげた。警察は“不審死”と判断、殺人容疑で連行されたのは、何と死亡時に彼女の“悪魔祓い”の儀式を執り行っていた神父であった。
この異常な事件の公判で、被告の弁護に立ったのは、野心満々の凄腕女弁護士エリン。彼女の使命は、カソリック教会の意向を受けて、この不名誉な裁判を穏便な司法取引に持ち込み、世間の話題にのぼるのをできる限り避けることだった。
検察により、“悪魔に憑かれた”被害者エミリーの病状が医学的に分析され、また、彼女が実際に医師の診察を受け、薬を処方されていたにもかかわらず、神父が医療を拒否するよう勧めたことが明らかになり、エリンは一気に苦境に追い込まれる。




ホラー仕立ての法廷映画です。ドイツで起こった実話に基づいており、事実を大きく逸脱することはないので、怪物が出るとか殺人鬼とか、いわゆるホラーチックな絵空事は一切ありません。セットは簡素、CGなし。カメラワークとメイクと役者の演技だけで成り立っている低予算映画。にもかかわらず、怖い。お茶の間が静まり返りました。

ロバート・ワイズの「たたり」にまさるともおとらない恐怖演出、また、エミリーに扮したジェニファー・カーペンターの熱演は特筆ものです。彼女なしでは、単なる歯切れの悪い法廷物というだけで終わってしまったかもしれません。

ただし、ホラー表現の出来栄えは見事でも、お話の中身は、実話をなぞっているだけに、考えさせられる点がいろいろあります。
エミリーのような疾患に対する根強い迷信や偏見を取り除くために、医療関係者や患者の会はたいへんな努力を重ねてきました。それを、今更蒸し返すような作品を作るというのは、どうでしょうか。神経症状と精神疾患を混同しているかのような描き方も気になります。

また、作中で「薬が効かなかった」ことが事実であるかのように言われていますが、副作用の強い薬を使うため、投薬は少量から始めて徐々に増やし、血中有効濃度が安定するのに少なくとも二週間はかかるので、ふつう、投薬直後から劇的に症状が改善することはありません。発作の種類や、脳内の原発部位によっても、効果のある薬が微妙に異なり、最初に出された薬が必ず合うとは限らないし、患者自身の体質等により、副作用の出方や必要量も違ってきます。
従って、最初の診断と処方がドンピシャで、ピタリと発作が止まるのは、むしろ幸運なケース。薬の調整のために入退院を繰り返すことも稀ではありません。
校医から「入院が必要」と言われたのに従わず、専門医の詳しい検査や診察を受けてもいない段階で、発作がすぐに軽減しないからといって、「医療は役に立たない」と決め付けるのは乱暴でしょう。

若いエミリーが、発作の苦しさ・幻覚の恐怖から、極度の不安にかられてそう思い込んでしまうのは理解できます。
しかし、第三者である神父が、中世ならいざ知らず、法皇だって医学の世話になる現代に、医師の意見を一切聞くことなく、患者本人の主観的な見方を鵜呑みにして助言するのは、大人としてあまりにも軽はずみ。ましてや、神父という、精神的に影響力の強い立場を考えると、「悪気はなかった」で済むことではない。いやむしろ、自分の名声を高めるために、故意に彼女を医学的な治療から引き離したと言われても仕方ないとさえ思えます。

裁判の結末は、私にはもう一つ納得できないものでした。

 
スポンサーサイト
見た映画(DVD)TB:0CM:0
<< 楽園追放ホーム全記事一覧ディベート練習帳 >>

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://segrokamome1.blog27.fc2.com/tb.php/282-6aaae215

Copyright(C) 2006 常世国往還記 All Rights Reserved.
template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。