常世国往還記

本と映画のノート



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読書と映画の鑑賞記録。
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男根崇拝

2006/07/28(金) 21:11:57

ファイト・クラブ スペシャル・エディション
ファイト・クラブ(cinema)
監督 デビッド・フィンチャー
ブラッド・ピット,エドワード ノートン,
ヘレナ・ボナム・カーター
posted with amazlet on 06.07.28
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2005/04/22)


大手自動車会社で事故調査にたずさわる主人公は、時差含みの長距離出張を繰り返すうちに、重症の不眠症にかかってしまった。睡眠薬を処方してもらおうと病院に行くが、医者は「不眠症で死ぬ人はいない」とつれない返事。「この程度のことで深刻がるなんて大げさ。ガン患者のセラピーにでも行ってみれば?自分が恥ずかしくなるよ」という乱暴なアドバイスに従って、患者と偽って難病セラピーにもぐりこんだ主人公は、本物の患者たちに混じって涙を流すことで、意外にも癒され、熟睡を取り戻すことが出来た。
以来すっかりセラピーのとりこになった主人公は、今日は末期ガン、明日は結核患者の会とはしごをするうち、どこの会場でも見かける嫌な感じの女、マーラの存在に気づく。彼女もセラピーを趣味にしていたのだ。
ニセ患者の正体を見透かされているようで落ち着かない主人公は、再び不眠症に。彼は思い余って、ある日ついにマーラと対決、なわばりを分割する取り決めを結んだ。もう彼女と鉢合わせする気遣いはなく、ほっとする彼だったが、どういうわけか、その後も安らかな眠りは戻ってこない。

最初に観たときは、てっきりガイ・リッチー作品かと思いました。ト書きのような無表情なナレーションで画面転換していくスタイルが「スナッチ」そっくりだったので。
しかし、乾いたユーモアや記号の氾濫は「スナッチ」に近いけどナンセンスではなく、それなりのメッセージ性や、ぐちゃぐちゃ・血まみれのグロさは確かにフィンチャーです。

イメージや記号がてんこもり。不可解な出来事の連続に、観客は翻弄されます。そこがこの映画の面白いところ。多分、デビッド・リンチ監督作品のように、はっきりした“正解”は用意されていないのだと思います。“誰だろう”“何だろう”“このあとどうなったのかな”などと、考えるのが楽しい作品。よって、観る人を選びます。いわゆるハリウッド的な、一発でわかる映画が好きな人には向きません。

私のまわりのブラピファン+平和愛好家の皆さんが、口をきわめて酷評していたので、今まで敬遠してきましたが、もっと早く見れば良かった。確かに暴力シーンは強烈ですが、これはまったく暴力映画ではありません。
ただし、ブラピを鑑賞するのに適当な作品かどうかは…。熱演なんだけど、悪くはないんだけど、この役、別にブラピが演らなくても良かったよね。主役はあくまでもエドワード・ノートン@名無しだしね。
 

以下は、勝手読み。ネタバレごめんくださいまし。


ネタバレ解読








謎の多い映画で、見ている間よりも、見おわってからのほうが楽しいかも。
以下は“私はこう考えた”という仮説でしかないですが、いちおうまとめてみます。


この作品は、主人公が拳銃を突きつけられているシーンから始まります。
事情はわからないが、主人公は死を待つ状態にある。そして、死はすぐそこにある。
何の説明も無しに、明らかにラストシーンと思われるこの場面を冒頭にもってくることで、全編が、死で貫かれた物語だということを表しているのでしょう。

死までのタイムリミット。
私はずばり、この映画は、主人公が飛行機事故で死ぬまでの3分間に見たまぼろしだと思います。

タイラーが登場する直前、飛行機に何かがぶつかって空中爆発するというショッキングなシーンがありますが、あれが最後の“現実”だったのではないでしょうか。
場面はすぐに切り替わって、主人公の分身であるタイラーが隣に現れ、緊急時用のパンフレットについて、「酸素ボンベをくわえるとハイになり、現実逃避ができる」と冗談を言う。だが、まさにそれこそが以後起こったことのすべてではなかっただろうかと思うのです。(パンフレットの話は、後半にもう一度、もっと誇張された形で出てきます。いくらなんでもこんな絵じゃないってば。)

管理社会で疲れ果て、寝ているのか起きているのか、生きてるのか死んでるのかわからなくなった主人公は、仕事や見栄でがんじがらめの反自然的な生活にうんざりしています。
また、一度はセラピーに救われたものの、女性原理にドップリ漬かることに疑問を感じてもいる。男でありながら男性器を持たない睾丸ガン患者の会での癒しというのは、大変な皮肉ですね。(こんな台本、いいのかよ…。)
そこへ、自分と似たもの同士のマーラが登場。加えて、末期ガンの女性によるセックス願望の告白に触発された主人公は“男”に目覚めてしまう。マーラが気になって仕方ないのは、もちろん異性として惹かれているから。マーラとセラピーを住み分けてしまったことを、心のどこかで後悔しています。

どうせ死ぬなら、もっとましな人生は無かったのか。もっと自由な生き方、男らしい生き方、プラス・マーラのいる人生。
…ということで出来上がったのが、無頼なタイラーとファイト・クラブ。ちなみにタイラーの容姿は、飛行機に乗る直前にすれ違った見知らぬイケメンがモデルですね。

主人公は、都合よく家がなくなり、都合よくタイラーと再会し、都合よく一緒に暮らすことになる。タイラーが主人公のいる公衆電話にかけてくるなんて、どう考えてもおかしな話。(ここらで幻想に気づいても良かったですね。)
そして、主人公の“理想の生活”をしているタイラーの主導で、主人公の秘めた願いである攻撃衝動を解放するためのファイト・クラブを設立。やがてマーラが都合よく向こうから押しかけてくる(そんなのあるわけないだろ!)。
ちょっと面白くないのは、彼女がタイラーとくっついてしまうことですが、これは話の設定上仕方がない(強い男性性は、主人公ではなくタイラーに付帯する人格ですから)、ということで、主人公は意外と冷静に受け止めます。

こんな具合で、主人公が勤め先で暴れて、まんまと自宅勤務を勝ち取る(会社組織からの解放)あたりまでは、トントン拍子に進みます(そんなうまい話が現実にあるわきゃない)。
ところが、だんだん様子がおかしくなってくる。そもそも主人公が暴れるあたりから、彼の人格が変容していることがわかるのですが、その一方で、タイラーがクラブを組織化しはじめるのです。

タイラーの指導をあおぐクラブは、軍隊風の規律で統率された、無個性な兵隊たちの集団になっていきます。それは、主人公が逃げ出したがっている現代の管理社会そのもの。名前の無い主人公もまた、管理される兵士の一人なのです。
自由と解放のためのクラブが先祖がえりしてしまう。それを率いるのが、自由の申し子であるはずのタイラー、というのは強烈な皮肉。また、組織化された攻撃衝動が反社会的な暴力(戦争? ナチ? テロリズム?)へ変貌するという洞察はなかなかです。

慌てた主人公は、姿を消したタイラーを追ってあちこち移動します。これも、現実世界での出張生活の反復。よって、主人公は再び健康を害してしまう。最初の彼に戻ったのです。やつれた主人公は、やがてタイラーなんて人間はどこにも存在しないことに気づく。再び、現実の時が近づいてきます。

タイラーの爆破計画。ガレージにぽつんと置かれた爆弾車のイメージは、現実世界で主人公が調査した事故車の変奏。しかし、このトラップをクリアしても、タイムリミットが迫る。

そして、冒頭の、“あと3分”の場面が再び。タイラーの破壊工作=主人公の世界の終わり=死は、最初から決まっていたことなのでした。
頭を撃ち抜いても死なない主人公、というのはつまり、この場面も現実ではなく、主人公の幻想であることを表しています(だって普通即死だもん)。彼は最後にマーラと手をとりあい、崩壊していく世界を見ながら「出会った時が悪かった」とつぶやく。幻想の中のマーラもまた、現実の存在ではありません。死へ向かう主人公の、最後の幸福な夢でしかないのです。

で。これで終わりと思ったら大間違い。

最後の最後に、一齣だけ、妙なものが入るんですよ。
はっきりと見えたわけではないのですが、これは多分、作中、タイラーが映写技師のバイトをしている時に、イタズラでお子様映画に継ぎはぎしたという、ポルノ画像(男性ヌード。無修正)ですね? 

要するにこの映画は、最後に主人公の幻想を笑いのめしているわけです。

暴力による自己の解放! 強いセックス! 
あんた、この話が気に入ったかい? HAHAHA!
そんなに好きなら、見せてやるよ。ほれ。

なんちゅう人を食ったラストでしょうか。やあねえ、もう。
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見た映画(DVD)TB:0CM:0
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