常世国往還記

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本物そっくり

2006/07/05(水) 16:16:34

贋作(book)
posted with amazlet on 06.07.04
パトリシア ハイスミス Patricia Highsmith 上田 公子訳
河出書房新社 (1993/09)


田舎の邸宅で、安逸をむさぼるトム・リプリーのもとに、ロンドンで画廊を経営するジェフから緊急連絡が。
トムも関係しているバックマスター画廊とダーワット商会は、イギリス人画家ダーワットの作品の展示と販売が主な業務だが、顧客の一人で、ダーワット蒐集家のアメリカ人マーチソンが、自分の買った絵は贋物だと騒いでいるという。
実は、“メキシコで隠遁生活を送っている”ことになっているダーワットは、もう何年も前に外国で死亡しており、ダーワット商会があつかう作品の大部分は、ダーワットの親友バーナードの手になる正真正銘の(?)贋作なのだ。
ダーワットが有名になり、作品がけっこうな値で取引されるようになったとき、彼の死が世間に知られていないことに目をつけて、贋作の制作・販売のアイデアを出したのはトムで、商会の実務にはかかわっていないものの、現在も売り上げの一部を受け取っている。インチキ商売がばれると、収入にひびくばかりか、苦労して築いた地位がめちゃくちゃになってしまう。
トムはマーチソンを黙らせるためにロンドンへ飛び、今は亡きダーワットを復活させるという奇策に出ることにした。


映画「太陽がいっぱい」、またはリメイク版「リプリー 」(原作「リプリー」)の、トム・リプリーを主人公とするシリーズものの第二作。
映画の結末と違って、完全犯罪達成で終わる前作から数年が経過、ディッキー・グリーンリーフの金のおかげで名士の仲間入りをしたトムは、富豪の娘エロイーズと結婚して、フランスの田舎の大邸宅に住み、悠々自適の生活を送っています。
もう金に困る身の上ではないのに、犯罪生活が染み付いてしまったのか、いまだに何かと後ろ暗い仕事に手を出しているトム。その裏稼業の一つである贋作販売でボロが出そうになる、というのが今回のサスペンスです。
名前以外はすべて偽者のトムと贋作の取り合わせが皮肉で可笑しい。


その上、贋作者のバーナードは、見方によってはトムの分身ともいえる人物。
他の仲間と違って、彼が贋作に手を染めた理由は、金儲けだけでなく、友人ダーワットとその作品への深い愛惜だったのですが、それだけにダーワットにのめりこみすぎ、画家としてのアイデンティティを喪失しかけて苦しんでいます。
罪悪感と個人的な悩みの両方から、彼はマーチソンに真相を打ち明けてしまいそうになる。トムは、バーナードの中途半端な態度にいらいらしながらも、突き放すことができない。同じように友人の死を食い物にし、嘘で固めた人生を送ってきた彼には、バーナードの悩みが理解できるからです。


バーナードの口を塞ぐため、加えて、彼との関係をより強固にするために、トムはバーナードを、さらに深く犯罪に引きずり込みますが、バーナードにしてみれば、トムと向き合うのは、自分中の悪魔と対決するようなもの。次第に耐えられなくなって、精神的に崩壊しはじめます。


軽々と偽の自分に乗り移り、親切で洗練された上流人士と血塗られた犯罪者の間を顔色ひとつ変えずに行き来するトム・リプリー、最後までどうしても自己への執着を捨てきれないバーナード。
二人の交渉は、さらなる混乱を招き、さすがのトムにもほとんど収拾不能であるかに見えるのでしたが……。


息詰まる追跡シーンと、ラストのあっと驚く落としどころが、サスペンスとしてのクライマックスです。
ハイスミスには珍しく、ドロドロのグロ場面付きです。ほんとドロドロです。おえ。


 

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