常世国往還記

本と映画のノート



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カテゴリー

最新の記事

過去ログ

ブログ検索

FC2ブログランキング

RSSフィード

プロフィール

かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
日記もちょっとだけ。








ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

愚行録

2006/07/02(日) 22:52:45

東京で下宿生活を送るお気楽大学生笙くんは、突然上京した父親から、今まで存在すら知らなかった伯母の松子が、東京の自宅で殺されたと聞かされる。松子伯母は、若い頃に故郷を出奔し、今まで行方知れずだったのだという。
父に代わって、松子のアパートの後始末をさせられるハメになった彼は、ふと伯母の過去に興味を抱き、彼女が郷里を出てからの足跡をたどるのだったが…。

国立大学出の優秀な中学教師としてスタートしたヒロイン松子の、最底辺までの転落劇。
彼女は、学校のお勉強をはじめ、課題を与えられると何によらず精励刻苦するので、どんな仕事に就いても非常に有能なのですが、いったんトラブルが起きるとたちまちパニクり、後先考えないその場しのぎの対応で、かえって最悪の事態を招いてしまう。その都度、せっかく積んだキャリアが台無しになるばかりか、階段を五段飛ばしくらいの勢いで落っこちていきます。
哀れといえば哀れですが、転落の直接の原因が、常に松子その人にあるために、「テス」などと違って、同情も感情移入もしにくいのが、読んでいてつらいところです。

戦後教育の破綻、というテーマなんでしょうかね(笑)。成績は良くても、常識がないとか社会性に乏しいとか、あるいはいわゆる「生きる力」とやらの欠如とか。
中学の教員を首になったら、次はいきなりトルコ嬢、という、非常識というか、ありえない短絡ぶりには腹を抱えてしまいました。 とりあえず、失業手当をもらって、ハローワーク(当時は職安)に行こうよ。

自分の人生と正面から向き合えず、いつも他人に流され、あなた任せの幸せを期待して、失敗することの繰り返し。一見、恋人思いの一途な女に見えますが、実は相手にとっては精神的な負担でしかない。
でも、なまじ仕事ができて、経済的には相手より優位だったりして、表面的にはいかにも自立しているように見えるため、関係がいよいよ破綻するまでは、本人も周囲もそのことに気が付かず、不幸を増幅します。

主体性を欠いた人、というのはおつむが悪いのが相場なのに、いや、実は松子も、ある意味おつむは良くないのかもしれないけれど、どんな不遇な状況でも、課題を前にすると、愚直にひたすら努力・精進し(関心・意欲大)、スーパーのレジ打ちだろうがトルコ嬢だろうが、いちいち過剰なくらい適応してしまうさまが、(本人は大真面目なのだが)馬鹿馬鹿しく可笑しい。案外、世間で“秀才”と見られている人の中にも、このタイプはありがちなのじゃなかろうか、と思わせるところがあります。
逆に言えば、学校の勉強や、組織の中の与えられた仕事で成功するためには、主体性なんか必要ないってことかなあ。

松子の最後の恋人である龍くんが、売人の世界から足を洗おうとして、つまり、ルーティンな社会生活(?)に主体性を持ち込んだばかりに、ひどい目にあう話や、出所後に自立した人間として再出発を果たすエピソード、また、笙の恋人の自覚的な進路変更は、主人公の生き方の対照なのでしょう。

そこまではまあいいのですが、龍くんの更生にからむキリスト教の話は、いくらなんでもチャチでツヤ消し。なくもがなでしたね。クリスチャンが憤慨するんじゃないかと心配になります。
宗教は一見受身に見えて、実は強烈に主体的な行動なのだという解釈は、物語に沿っていてうなずけますが、幼稚園の日曜学校じゃあるまいし、カミサマがどうこうと、あまりにも単純素朴なお説教は、大人向けにはちょっとどうでしょうか。

 

 
スポンサーサイト
読んだ本TB:0CM:0
<< 「私」という名の身体ホーム全記事一覧ドイツ最期の12年間 >>

コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://segrokamome1.blog27.fc2.com/tb.php/263-acf09052

Copyright(C) 2006 常世国往還記 All Rights Reserved.
template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。