常世国往還記

本と映画のノート



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ドイツ最期の12年間

2006/06/30(金) 17:26:23

地獄に堕ちた勇者ども
地獄に堕ちた勇者ども(cinema)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
ダーク・ボガード,ヘルムート・バーガー,
イングリッド・チューリン
1969年 イタリア・スイス
posted with amazlet on 06.06.30
ワーナー・ホーム・ビデオ (2004/04/23)
鉄鋼会社社主のヨアヒムが、誕生日の夜に射殺された。犯人は、社長の座を狙う番頭のフリードリヒ。彼は、ナチの幹部アッシェンバッハの後ろ盾を得て、有能な副社長のヘルベルトに濡れ衣を着せ、ヨアヒムの長男の未亡人ソフィとの愛人関係を利用し、ソフィの一人息子でヨアヒムの相続人であるマーティンを傀儡に仕立てて、まんまと社の実権を握る。
しかし、ナチはフリードリヒを操るだけでは満足しなかった。
アッシェンバッハは、ヨアヒムから時期社長に指名されていた、突撃隊(義勇軍のようなもの)OBのコンスタンティンを、「長いナイフの夜」事件で葬り、さらに、マーティンの性的倒錯癖につけこみ、甘い言葉で彼をあやつって、身勝手な母親と祖父の仇である愛人に対する復讐へと差し向けるのだった。

第二次大戦前夜の混沌とした社会状況を背景に、鉄鋼会社社主一族の内紛と没落になぞらえて、戦争から破滅に至るドイツ国内の諸相を描いた重厚な作品。日和見からリベラリストを排除したばかりに、ナチにつけこむ隙を与え、結果的に抹殺されてしまう旧世代、他国へ追われるリベラリストたち、ナチと結び下克上を狙う庶民層、コミュニズムアレルギーから排他的になり、時代の趨勢を見誤る愛国者たち、第一次大戦の敗北によって父を失い、精神的支柱のないまま、迷走し虚無的になっていく若い世代、そして、あらゆる時と場所で、狂言回しの役を演じるナチズム。
象徴的存在としての登場人物ひとりひとりを追いながら、まるでギリシャ悲劇のように粛々と物語が進行します。

邦題は、主に、この作品のクライマックスの一つである「長いナイフの夜」(対戦の英雄である突撃隊のメンバーが、ナチスによって大量に粛清された事件)を指しているのでしょう。
しかし、話は「勇者たち」の敗北にとどまらず、世の中に絶望した若者たちが、あるいはナチスの組織に組み込まれ、あるいはモラルを捨て、混沌と頽廃の権化と化し、ドイツを原題どおりの“破滅”に導くさまを描き出します。


ベテラン俳優のさすがに手馴れた演技もさることながら、圧巻は、なんといってもヘルムート・バーガー扮するマーティンの変貌です。幼稚でひ弱な両性具有者、母親のスカートの陰にかくれているような、誇り高い一族の中ではごく存在感の乏しい病的な青年が、悪魔に毒を吹き込まれて、みるみる怪物へと成長していく。
ナチス・ドイツの精神の象徴として、大輪の悪の華を咲かせるラストの迫力は、震えが走るほどです。

作中の時間では、このあと第二次大戦に突入という順序ですが、フリードリヒとソフィの最期は、明らかにヒトラーとエヴァ・ブラウンのそれを思わせ、監督の意図が、単に一時代の、一家族の事件にとどまらず、ドイツ崩壊に至る民族の悲劇を描き出すことにあったことをほのめかしています。
したがって、マーティンの極端な変態性も、近親相姦というショッキングな行動も、“ビョーキの男”としてではなく、ホロコーストを含めた一時代の病理の集約と見るべきなのでしょう。

 
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見た映画(DVD)TB:0CM:1
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コメント
きょうありすはこ
きょうありすはここで震え監督したかった。
BlogPetのありす #-|2006/07/01(土) 11:24 [ 編集 ]
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