「悪夢小劇場」の続編のようなかっこうですが、だいぶ品下がります。ユーモアの欠如、アイデアの練り方も今ひとつ。大衆誌の娯楽読み物レベルですね。まあ、暇つぶしにはなるかな。しかし、後味が悪いので、同じ暇なら昼寝に使ったほうが有益かも。
宇宙塵: 隕石を探しに山へ入った天文ファンが、妙なものを発見してしまう話。ラスト近くまで、「アンドロメダ病原体」みたいな展開を期待してしまいましたが…。
着せ替え泪人形: サドマゾ女子中学生の超キモチワルイ話。これ、親の育て方がどうこうって問題じゃないですよ。早く精神科にかからなきゃ。まあ、治るかどうかはわからないけど。
変に冷静な先生もどうかしてます。教師失格!
金歯: 食事時は避けること。
うすばかげろう: 薄馬鹿下郎ってか。「悪夢小劇場」の、「景徳鎮」と同じような話ですが、あの素っ頓狂な女主人の潔さに比べて、こちらはなんとも下種で卑しい。
女優: 血は争えないという話。才能あふれる二世に対して、親のほうが役不足だったということなのでしょう。
導盲猫: 中国産オオヤマネコを盲導犬代わりに訓練するというぶっとんだパロディ小説。途中まではめちゃくちゃ笑えますが、最後の小理屈が余計でしたね。
ジャガラタ文: 在仏望郷。短編でアッサリやられると、感動も同情もあっさり。
味見指: 三角関係の全員が、互いを味見しているだけという、げんなりするような人間関係。旦那は俗物、奥様は最低女、主人公のひがみっぷりも情けない。
健康への暴走: 子供にぶらさがる父親、父親に邪険な妻子。愛のない家庭のドロドロした話。
乱雑人小図鑑: 「片づけられない人たち」の悩ましい話。あらぁ、そんなに気にしなくても、散らかってたって死なないわよ。いやなら自分で片付けたら…あイヤ、すみません、今片付けます。
紅葉狩り: 伝奇小説ふうですが、ロマンもものの哀れも上滑りで、あまりうまくまとまりませんでした。気色悪いエロ小説みたいになっちゃった。
海が呑む: 「悪夢小劇場」の、「物言わぬ海」の裏話か後日談のようなもの。エッセイふうで、まとまった作品にはなっていません。「物言わぬ海」の感想で、こういう文章を教科書に採ればいいのにと書いたら、同じことが書かれていて可笑しかった。
津波の話のいろいろは、それなりに興味深くはありますが、死者が呼ぶとか、オカルトのほうはどうもね。
読者としては、執筆動機は想像に任せてもらったほうが楽しいので、どんな衝撃の体験があったにしても、言わぬが花というものではないでしょうか。
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