常世国往還記

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死の甘美な抱擁

2006/05/09(火) 16:19:33

死霊の恋・ポンペイ夜話

ゴーチエ作 / 田辺 貞之助訳
岩波書店 (1982.2)
通常2-3日以内に発送します。


怪奇と幻想の短編集。
ゴーチエは、画家でもあり詩人でもあったとのこと。視覚と言葉、二通りの表現を自由にあやつる芸術家だったのですね。
ゴシックホラーのような重々しさとセンチメンタルなロマンが溶け合って、実際以上に古風な趣があります。


死霊の恋: 古典的な吸血鬼もの。魔女クラリモンドに魅入られた若い僧の、安珍清姫ばなしです。見どころは絢爛たる美女の描写。遊女が吸血鬼というのは比喩かしら?と思うくらい、クラリモンドには死霊の不気味さがありません。完全無欠の美しさ、まがまがしいまでの艶やかさは、クリムトの絵のようです。
誘う女が悪いのか、ふらふらついていく男がダメなのか。確かに、こんな美人とイイコトできるなら、お堅い信仰もどこへやら、地獄に堕ちてもかまわないと思うのも無理ないかもしれないけれど、全部相手のせいにしなくたって。

ポンペイ夜話: ポンペイの遺跡に残る少女の人型に魅せられた青年は、二千年を経た今もこの地に迷う彼女の魂を呼び寄せてしまいます。花の盛りに命を絶たれた哀れな美女とのめくるめく一夜。女が悪霊ということにされているのが、ちょっとむかつきます。呼ばれて出てきただけなのに~。
牡丹燈籠と似た話ですが、これも耽美的で、怪異譚というほどの怖いことは起こりません。
ちなみに、ポンペイ発掘が本格化したのが、ちょうど十九世紀半ばごろ。灰の中に深くうずもれた古の繁栄のあとが、当時のロマンチシズムを大いに刺激したことでしょう。

二人一役: 入魂の悪魔役で評判をとった若い俳優に近づく謎の男。何かもっとひどいことになるかと思ったら、結局やりたかったのはそれだけ? 芝居好きとは、ずいぶんと人間くさい悪魔です。

コーヒー沸かし: この手の変身を見たのは、ディズニーの「眠れる森の美女」だったかな。コーヒーポットがそんなに色っぽいですかねえ。お尻の大きいところがポイントなのかしら。聊斎志異的幽霊譚です。

オニュフリユス: 青年画家オニュフリユス(うわあ舌噛みそう)が狂気に至るまでの幻覚と妄想の描写は、現代小説に貼り付けても違和感がないくらい真に迫っています。
解説によれば、“作風にも行動にも奇をてらうことを好む同時代の若い詩人たちの退廃ぶりを批判した寓話”とのこと。フランス七月革命にからんで、政府のお先棒をかつぐ御用芸術家になるか、はたまた抵抗するかの選択を迫られ、どちらに与することも嫌って、唯美主義に向かう途上で書かれたもののようです。
しかし、作者の態度は、芸術という魔物にとりつかれ破滅するオニュフリユスの悲劇的な運命を、表面的には揶揄しつつも、実のところむしろ同情的であるように思われました。そもそも、「死霊の恋」にしろ「ポンペイ夜話」にしろ、死の世界の魔物との間に真実の愛を見出すという、退廃と背徳の典型のような物語の作者に、オニュフリユスを非難できるでしょうか???
作中“エスキロル博士の狂気の統計表”に見る“政治による狂人”のダントツの数字(笑)は、まさに革命批判。婚約者のいい加減な変心ぶりも、巷の平凡な健康人を皮肉っているようでもあります。



 



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