常世国往還記

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なつかしの本棚

2006/05/03(水) 23:33:36

世界文学を読みほどく

池沢 夏樹著
新潮社 (2005.1)
通常2-3日以内に発送します。


翻訳家であり、作家・評論家としても活躍する著者の、京大文学部での講義録。
「世界文学」と銘打つなら、せめて中国文学の一つくらいは入れてほしいところでしたが、残念ながら近現代の欧米文学オンリーです。まあ、著者(講師)の専門と、集中講義という限られた時間内での話であることを思えば、仕方の無いことでしょうか。

ポピュラーなタイトルを十冊選び、年代順にそれぞれの文学史的位置づけ、作家論、作品論、方法論などを語っていくという趣向です。(その他、オマケ的に自作「静かな大地」の解説というかメイキング話も加えてあります。)

学生でもなく作家志望でもない、ブックガイドのつもりで読んでいるただの読者としては、創作技術の話題などはあまり興味が湧きませんが、既読の作品についても未読のものについても、翻訳などの実務で培った広範な知識を背景に、ひとつの“読み方”が提示されていて面白かったです。

全体に、未読作品やうろ覚えのものについての話は、「なるほど。このようなものであったか」と、非常に興味をもって読み、日ごろ愛読してきた作品については、「こんなもんじゃない。もっと面白い読み方があるのに!」と、やや不満を感じました。きっと、既に自分なりの読み方が出来てしまっているからでしょうね。

パルムの僧院: おお、このようなものであったか。これを読もうと思い立ったのが、どういうわけか小学校高学年の頃。たまたま家にあったんでしょうね。小学生には無理だよ…。おばさんと甥で愛だの恋だの、変な話だと思って、それきりだった。
アンナ・カレーニナ: そうかなー。珠玉の名作、でも作者はクソ野郎って、よくある話じゃないですか(小説に限らず、音楽でも絵画でも)。ご乱行を私小説に仕立てて評判を取る、なんてほうが、よっぽどタチ悪くないかな(作品の良し悪しは別として)。トルストイは、自分のやってることはダメと分かっている(だから書けない)だけマシではないかと。
訳文にもよるのかもしれませんが、これは作者がヒロインに思い入れたっぷりな作品だと思って読んできたので、著者の感じ方は意外でした。予定調和がお嫌いなのでしょうか。また、女性の立場で読めば、もっと別な感想もあります。
トルストイについて、最近どこかで読んでなるほどと思ったのは、確か「戦争と平和」についてだったと思いましたが、「この小説がダメなのは、いつ誰が読んでも同じだから」というものでした。確かに、「戦争と平和」はつまらない小説ではないけど、ある意味「平板」なんですね。それこそ、語彙さえクリアすれば子供でも読める。あれこれ考えさせるようなところはなく、司馬遼太郎レベルのエンタテインメントと言ってしまっても、それほど違わないんじゃないかと思うくらい単純明快。読書の醍醐味には乏しいかもしれない。
カラマーゾフの兄弟: 昔読んだ。確かに読んだということは思い出せる。クソオヤジ、変な兄貴、アリョーシャにゾシマ様。筋も大体覚えてる。でもそれだけで、何の感想も湧いてこない。読んだ当時もそうだったのです。
「すごく面白い!名作だ!」という人が多いんだけど、わからない。何がわからないのかもわからない。この解説を読むと、ちょっとわかったような気がするけど、でもよくはわからない。
ドストエフスキーは苦手な作家の一人です。あっちウロウロ、こっちウロウロして、どこ見てるのかわからなくなっちゃう。「罪と罰」のような比較的単純なテーマの作品ですら、何か達成感がなくて本当に困る。そのくせ、「死の家の記録」なんてマイナーどころは面白かったりする。
「悪霊」と「白痴(おおっと、差別語なので変換リストにないぞ)」はちょいと訳あって読まなきゃいけないんですが、もう何年も手が出ない。困った困った。
白鯨: そうでしたね。真ん中のウンチクが長い話、という記憶は確かにあります。しかし、捕鯨とグローバリズムの関係は読めていませんでした。そういえば、ペリーが日本に来たのだって、捕鯨船の補給基地開拓が目的の一つでしたっけ。
冒険活劇が目立つので、子供の読み物みたいに思い込んでましたが、ちゃんと読まないとだめですね。
ユリシーズ: 難しいというより、面倒くさいんです。こうして解説を読んでいても、どこがすごいかというのはよく分かるけど、あまりに面倒で読む気になれません。
作者の仕掛けたゲーム。研究者や作り手など、ゲームに参加する気のある人にとっては、おたく心をそそる宝の山みたいな作品なんでしょう。
魔の山: マンは、後半生かなり政治的に動いたせいか、こういう読み方が一般的なんだけど、これじゃあまり面白くありません。確かに細密な描写に凝る作家ではありますが、それは舞台装置に限ったことで、案外肝心な点は読者任せです。
主人公のハンス・カストルプは単なる舞台装置の一つ、“教養小説”も大道具にすぎません。個々のエピソードを、あるいは全体の流れをどう受け取るか、読むたびに発見があって、考えどころの尽きない名作だと思う。
アブサロム、アブサロム!: うーん、名前はよく知ってる作家なのに、どうして今まで読んでないんでしょう。顔つきは違うけど、「百年の孤独」のお兄さんか親戚みたいな話ですね。これは要チェック。
ハックルベリ・フィンの冒険: うむ。野生児ハックはトウェインのユーモア小説の中でも、断然面白い存在だと思う。先見的でもありますし。
百年の孤独: 私は民話より原始的な神話のイメージと見てました。系図や途方も無い数字へのこだわりは、旧約聖書っぽいです。昔語りの衣を着ていながら、本質は紛れもなく近現代の南米の物語であるところがなんとも言えない。「エレンディラ」などの短編も好き。ムードは全く違うけど、エリアーデと共通点があると思う。
静かな大地: 楽屋裏の話はあまり興味が無いので。
競売ナンバー49の叫び: この本を読んだ動機の半分は、この章です。ここ数年、ピンチョンてどうだろうと思いつつも、手が出ませんでした(長いものは失敗だと壮大に時間の無駄なので)。だいたい、あの補注ってどうよ。
これもジョイス的にゲーム本のようですが、こちらのほうは私の趣味かもしれない。がんばってみるかもしれない。

最後の総括も面白いです。まあ、現代がカオスなのは、情報量のせいでもあるけど、それ以上に、現代がまさに現代だからではないかと思う。
常に移ってゆく“今ここ”は、誰にもよく見定めることができないものなのでは。捕らえられそうで捕らえられないそれを、一部分なりともつかまえることの出来ている作品が、おそらく後世に残るものとなるのでしょう。
もう50年も経てば、かなりはっきりしてるんじゃないかな。それまで生きていられたらいいな。



 
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コメント
Re: なつかしの本棚
たまたま世界文学について書いています。よかったら見に来てください。
読書には快楽があるべきなので、おもしろくない本はパスすべきだとぼくはおもっています。
でも批評は別のしごとだとかんがえています。
Close #bZHQzD8.|2006/05/04(木) 00:51 [ 編集 ]
Re: なつかしの本棚
Closeさま、ようこそいらっしゃいませ。
ラスト数行で、苦行が一気に快楽に変わったりする。
だから読書はあなどれない。
何だかなあと思う作品も、(スタンダールのように)その時の自分に読む力が足りなかっただけかもしれず、ひどくもったいないことをしているのではないかと、いつも気になります。
世界を一気に広げてくれるような本を、まだたくさん読み残しているような気がします。
これからもよろしくお願いします。
かもめ #-|2006/05/05(金) 17:25 [ 編集 ]
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『アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―』
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評論のレビュー|2007/10/06(土) 13:22

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