常世国往還記

本と映画のノート



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリー

最新の記事

過去ログ

ブログ検索

FC2ブログランキング

RSSフィード

プロフィール

かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
日記もちょっとだけ。








ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

小皿の名人芸

2006/04/14(金) 15:14:34

特別料理
スタンリイ・エリン著 / 田中 融二訳 早川書房 1982年


“犯罪小説”でくくってしまうのはもったいないような短編小説集。
単純な推理パズルや小洒落たショートストーリーを期待すると、あてが外れます。むしろ純文学的な人間観察や主人公の心理がこの作家の真骨頂でしょう。短編でいえば、モーパッサンのような。
あるいは、P.ハイスミスが中・長編でやろうとしたことと、ほぼ重なります。「君にそっくり」などは、そのまんまといってもいいくらいですし。


特別料理: 注文の多い料理店。ファンタジックなストーリーにしては、中身がやや生硬ですが、バッサリオチをつけないところといい、隙のない佳品です。アンブローズ=ビアス先生がカメオ出演(笑)。というか、話自体がカーシュの「壜の中の手記」と同工異曲のようでもある。なんだってビアスは再々こういう話のネタにされるんでしょうか。あまり良い素材とは思えないのですが…。

お先棒かつぎ: 赤毛連盟。ただし、裏に隠れた犯罪よりも、赤毛のおっさんに焦点が。いったいお前はそれで良いのかと、小一時間問い詰めたい。

クリスマス・イヴの凶事: 完全犯罪その後。悪いことは出来ない、ということ。だけど、いちばん悪いのはチャーリーだという気もする。

アプルビー氏の乱れなき世界: ラストも凄いですが、奥さんが怖い。

好敵手: イヴ・ブラックとイヴ・ホワイト(C.H.セグペン「私という他人」)。サイコものです。

君にそっくり: 短編なのでコンパクトですが、まさに「そっくり」そのまま、ハイスミスの「リプリー」(あるいは「太陽がいっぱい」)です。これだけでなく、「アプルビー氏」なども、ハイスミスと筆致が非常に似ているのです。この二作家、どのような関係だったのだろうか。気になります。

壁をへだてた目撃者: 隣室の若い主婦に密かな恋心を抱いている主人公は、ある日壁越しに隣家の惨事を聞きつけます。彼は、片思いの恋人のために、隠蔽された殺人を暴き、彼女の無念を晴らそうと奔走するのでしたが…。
美貌ゆえに、周囲の男たちの邪心の犠牲になった薄幸の女性をめぐる切ない物語。

パーティーの夜: 永遠の輪廻。お芝居は終わらない。

専用列車: 人形の家出。というにはあまりに酸鼻な。

決断の時: 中心となる二人の性格描写にすぐれています。挫折を知らない人間にありがちの肥大した自尊心という弱点。負けるより勝って失うもののほうが、はるかに大きいような気がするのですが、はたして彼はどちらに決断するのでしょうか。はたまた、真相は。
息が出来ないほどの葛藤。犯行の瞬間のストップモーション。短編ならではの技です。

 


スポンサーサイト
読んだ本TB:0CM:2
<< マントを脱いだ又三郎ホーム全記事一覧新しいサービスよりも >>

コメント
職人作家
エリンは職人作家ですよね。『特別料理』のみが喧伝されていますが、むしろ他の収録作品の方が面白いと思います。個人的なベストは『パーティーの夜』『決断の時』。
そういえばハイスミスと似た面がありますね。当人はミステリを書いているつもりではなかったとか。創作の基本姿勢からして共通点があるように感じます。
kazuou #-|2006/04/15(土) 21:50 [ 編集 ]
おっしゃるとおり
kazuouさん、こんにちは。
若い頃の作であるせいか、「特別料理」は、むしろエリンらしくない作品のような気がしますね。ちょっと理屈っぽい。
私はそのまんま一本映画の撮れそうな「壁をへだてた目撃者」も好きですが、少々センチメンタルかな。女性向きかもしれません。
かもめ #-|2006/04/16(日) 16:43 [ 編集 ]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://segrokamome1.blog27.fc2.com/tb.php/217-eeafdde2

Copyright(C) 2006 常世国往還記 All Rights Reserved.
template designed by 遥かなるわらしべ長者への挑戦.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。