常世国往還記

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楽園追放

2005/04/14(木) 13:51:45

ペンギンの憂鬱

ペンギンの憂鬱(book)
アンドレイ・クルコフ著 沼野 恭子訳 
新潮社(新潮クレストブックス)2004年

クルコフは「ロシア語で書くウクライナの作家」とのことです。
そうかあ、今やこれは“ロシア文学”という括りには入らないものなのですね。
「ロシア」と「ウクライナ」に、どれほどの違いが、あるいは近似性があるのか、私には見当がつきませんが、この物語を通じて、両者の間に横たわる深刻な緊張を、わずかながらも読み取ることはできます。






しがないフリーライターのヴィクトル。金もなく、仕事もなく、身寄りもなく、家族といえば動物園からもらってきた皇帝ペンギンのミーシャだけ。
殺伐とした都会の一隅で、孤独な一人と一匹(ペンギンの助数詞ってやっぱり“羽”なのかな?)は身を寄せ合うようにひっそりと暮らしています。

ある日彼に持ち込まれた仕事は、まだ存命中の著名人の死亡記事を手当たり次第に書いて、いつか必要になるその日のためにストックしておくという、ドイルの「赤毛連盟」ばりにうさんくさいもの。ヴィクトルは、ミーシャとの生活のために、この手ごたえのない仕事を引き受けたのですが……。


お後はミステリかと思いきや、カフカ的不条理の世界が展開します。
しかし、カフカより安部公房より一層やりきれないのは、昨今のウクライナ情勢を見るにつけ、この小説が純然たる形而上のフィクションではなく、現実と濃密にリンクしているのではないかと思われることです。
ペンギンと暮らす青年の童話的な世界の外側には、唐突な殺人や陰謀が渦巻いています。ペンギンのように無害で善良なヴィクトルも、この街で暮らすかぎり、社会の暗い側面と無関係ではいられません。それどころか、小さな生活を守ろうとするささやかな努力は、彼の意に反して、周囲に少なからぬ影響を及ぼしはじめます。

ペンギンの出てくる小説で思い出すのは、壇一雄の「ペンギン記」です。うろおぼえですが、たしか作者が南氷洋を航海したさい、つかまえたペンギンを船室のバスタブで飼うことになって、もの言わぬおとなしい生き物が次第に弱っていくのを、なすすべもなく眺めている…というような話ではなかったかと思います。ペンギンに、無力で哀しいイメージを見るのは万国共通なのでしょうか。
しかし、「孤立する他者」である壇一雄のペンギンと違って、ウクライナではペンギンすらも、周囲の犠牲なしでは生きられないようです。

ときに。
“ペンギンと独身男”の取り合わせ、昔どこかで見たと思ったら初期の「東京トホホ会」(週間アスキー連載)でした。
秋元きつねさん画のトホホ君が、ペンギンしょってたんでしたね。



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