常世国往還記

本と映画のノート



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Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
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人生を巡る15の旅

2006/04/30(日) 15:25:44

夜の旅その他の旅(book)
チャールズ・ボーモント著 小笠原 豊樹訳
早川書房 1978年

ホラー、ミステリ、奇想天外な落とし噺から、まっとう至極で短編小説のお手本のような掌編まで、次々と毛色の違う作品が飛び出す、飽きのこない短編集です。
巻末の訳者あとがきも素敵なので、どうぞ読み忘れなく。

黄色い金管楽器の調べ: 牛と闘牛士と、二つの命を生け贄に、宿命のトランペットが鳴り響く。
古典的な事件: そう。昔からあるんですよ。アキバ系とおっつかっつだと思いますね。何でこんなものがそんなに好きなの?
越してきた夫婦: 郊外の静かで退屈な住宅地に展開するホラー。出来上がっているコミュニティに後から参加するのって、それでなくても勇気の要るものですが。
鹿狩り: 「仔鹿物語」ですね。生き物の小さな命を通して、人生の覚悟のほどが問われる話。
魔術師: 老手品師の最後の興行とそこで起きる悲劇。人はささやかな夢を見ていたいのです。永遠に。
お父さん、なつかしいお父さん: SF調の小咄。タイムマシンで時間をさかのぼるという、ありがちなお話なのですが…。
夢と偶然と: 古今東西、落ちる夢をネタにした話は数あれど。なあんだ、またか、と言わず、最後まで落ち着いて読むこと。ページ割は、偶然? それとも故意なのかな。
淑女のための唄: 思い出の船、思い出の旅。
引金: 究極のサイコミステリか。立証は困難でしょう。
かりそめの客: 大統領のボケ。盛大に突っ込みましょう。
性愛教授: セックスドクターの苦闘。お疲れ様でした。ウホッ!て奴かと思ったら違いました。1000ドルでは引き合わないと思います。
人里離れた死: カーレーサーの生命を賭けた駆け引き。原題は「Death in the Country」です。難しい訳ですね。
隣人たち: 「越してきた夫婦」と同じような展開かと思ったら。こんなわけないだろ!と思わなくもないけれど、こうあって欲しいです。
叫ぶ男: 甘ったるいヒューマニズムが最大の罪であるということなのでしょうか。修道院長の諦念についても考えさせられます。
夜の旅: ほんもののジャズは、夜の旅。芸術のデモーニッシュな面を描いた話。トーマス・マンの「ファウスト博士」のジャズ版といったところです。うっかり手を出すと、ヤケドするよ。


 



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読んだ本TB:0CM:1

妖怪大戦争

2006/04/27(木) 18:20:36

ヴァン・ヘルシング

ヴァン・ヘルシング(cinema)
監督 スティーブン・ソマーズ
ヒュー・ジャックマン ケイト・ベッキンセール
リチャード・ロクスバーグ
2004年 アメリカ
posted with amazlet on 06.04.27
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2005/09/23)


バチカンの特命機関として、反キリスト的存在に立ち向かう謎の男ヴァン・ヘルシング。彼の次なる使命は、ルーマニアの吸血鬼退治。
問題の村に到着したヘルシング一行の前に、タカビーで化粧の濃い女が現れた。一見ドラキュラな感じの彼女こそ、代々バンパイア撲滅に命を捧げてきた一族の最後の生き残りであった。
ヘルシングは嫌がる彼女を無理やり助けて、バンパイアどものアジトに乗り込むが――


公開時、ニューズウィークの映画評欄でさんざん叩かれていたのですが、この執筆者は少々ヒネクレ者で、日頃から大衆ウケ作品には点がからくなる傾向があるため、まあ話半分に、と思ってレンタル。

しかし、聞きしにまさるダメっぷりだったorz。あまりの悪趣味に、気持ちが悪くなりました。
お子様映画なみに単純な怪物退治のストーリーに、てんこもりのグロ映像(R12くらい付けてもよいと思う)。これじゃ大人も子供も見られないよ!
主人公も、ボスキャラのドラキュラ伯も案外なヘタレで、いったいどこをどう見たらよいのやら。いよいよのクライマックスには、思いがけない脱力ネタが用意されております。

背景・セットは、3号が「指輪物語」のパクリだと騒いでいますが、パクリだとしても、もとが上等なので、雰囲気は悪くありません。しかし、芝居のほうがドタバタなので、セットの雰囲気だけではどうにもなりません。
どう見てもホラー・アドベンチャーではなく、ナンセンス・グロ映画です。ありがとうございました。

コンスタンティン」のほうが数倍良く出来ています。少なくともガブリエルは勝ちです。


 
見た映画(DVD)TB:0CM:0

やぶにらみのイソップ

2006/04/26(水) 16:30:25

炎のなかの絵

ジョン・コリア著 / 村上 啓夫訳
早川書房 (2006.3)
通常24時間以内に発送します。


ブラックユーモアを散りばめた、悪魔的なファンタジー。
省略とほのめかしが独特の雰囲気をかもし出す、大人の童話集です。

夢判断: 落ちる夢の話。さて、誰に責任があるのでしょうか。

記念日の贈り物: 少年起業家が凄腕です。

ささやかな記念品: 不幸の記念品蒐集家。悪趣味ですね。

ある湖の出来事: 博物学が趣味の男と、俗物の夫人。こういう夫婦っているんですよねえ。でも、結局、珍しい経験をしたのは奥さんのほうでした。残念。

旧友: 古き良きパリと青春の思い出に捕らわれて、すべてを失う男の話。

マドモアゼル・キキ: …と言えば、前作の流れからモンパルナスのキキのことかと思いましたが、舞台は生臭い漁港、キキは猫の名前です。数あるネコ小説の中でも白眉。猫好き必読。

スプリング熱: 実際、よくあることではないでしょうか。作品のほうが作者より上等だったというお話。

クリスマスに帰る: 何事もスケジュール通り。いい奥様です。

ロマンスはすたれない: 人生、一瞬先は闇。あとはどうなったのかしら。

鋼鉄の猫: 後悔先に立たず。

カード占い: あたり外れよりも、解釈が大事。

雨の土曜日: こんなことだろうと思った。秘め事は秘め事のままにしましょう。

保険のかけ過ぎ: 本末転倒。

ああ、大学: 大学の勉強なんて、将来何の役にも立たない…のかな? だからって、このお父さんも極端だけど。

死の天使: 食い物の恨み。

ガヴィン・オーリアリ: ノミのサーカス。これは楽しい。

霧の季節: 2×2=4倍の恋の物語。もうおなか一杯です。

死者の悪口を言うな: 藪から蛇が出ました。せっかくだから、そういうことにしておきましょうか。

炎のなかの絵: ほんとの悪魔は私でしたというお話かな。確かにコリアという作家は悪魔っぽい。

少女: 赤頭巾ちゃん気をつけて。おとうさんが鈍すぎます! どれが誰のセリフか、一瞬混乱するのがポイント。ハイ、サヨウナラでラストです。


どれも面白かったけれど、「マドモアゼル・キキ」と、「ガヴィン・オーリアリ」のファンタジー二本が特にお気に入りです。


 






読んだ本TB:0CM:0

仮定法過去完了

2006/04/25(火) 16:29:59

レベル3

レベル3(book)
posted with 簡単リンクくん at 2006. 4.25
ジャック・フィニイ著 / 福島 正実訳
早川書房 (1982)
通常2-3日以内に発送します。


時間旅行、というとSFのようですが、それをいろいろな角度からとらえた小品を集めた短編集。SF的なものもあれば、ファンタジー、ちょっと変わったショートストーリーなど、いろいろです。
フィニイは、長編でも一貫して時間旅行にこだわっているようですね。


レベル3」「おかしな隣人」「こわい」「失踪人名簿」は、いずれもストレートな時間移動ものです。ちょっとホラーも。
雲のなかにいるもの」と「青春一滴」は、ヒネリの効いた恋物語。恋愛って、ある意味別世界旅行ですね。
潮時」は、「トムは真夜中の庭で」の大人版といったところ。しかし、とてもハッピーエンドとは言えない、暗いラストです。
ニュウズの蔭に」は、おとぎ話。
世界最初のパイロット」これはユーモアファンタジー。じいちゃんのホラ話。
第二のチャンス」は、“運命の車”という点で、キングの「クリスティーン」と少し似ていますが、変なところへ連れていかれなくて良かった。
死人のポケットの中には」は、後悔がテーマのシンプルな話。考えてみると、フィニイの時間旅行ものも、すべて「あの時ああしていれば」「今があのときのようだったら」という思いから成り立っているのではないかと思います。

そのせいか、全般的に懐古趣味。いささか鼻につきます。そんなに昔が良かったかしら?
まあ、日本の戦中派にすら過去を懐かしむ人がいるくらいだから、“古き良きアメリカ”の信奉者は多いのでしょうね。

 
 



読んだ本TB:0CM:0

クリアリー女史

2006/04/25(火) 15:37:53

今週のニューズウィーク(日本版・4/26号)にベバリー・クリアリーの記事があってびっくり。まだご健在だったとは。もう90歳になるそうです。

がんばれヘンリーくん

ベバリイ・クリアリー 松岡 享子
学習研究社 (1968/01)


ヘンリー君シリーズは、私自身が小学生の時に愛読し、2号3号も同じ年頃にはまり、二代にわたってお世話になった思い出の本です。
どこにでもいそうな普通の小学生を主人公に、捨て犬を拾う、熱帯魚を飼う、釣りに行く、物を失くす、学芸会に出演する、などなど、子供の身の回りでありがちな“事件”をめぐる騒動を描くユーモア小説。


シリーズ開始時が1950年代(もう半世紀も前になるのか…)ですので、登場人物は基本的に白人のみ、母親はすべて専業主婦など、人種や離婚の問題が当たり前のように取り上げられる現代のアメリカ児童文学とは隔世の感があります。

当時としても、社会的な問題とは無縁の、能天気といえば能天気な読み物です。
小さい子供向けとはいえ、身近な問題から目をそらしていていいのかという批判もあるとは思いますが、単一民族で、女性の社会進出の遅れた日本の子供には、かえって受け入れやすい側面もあります。
作者のバランスの良いコモンセンスは、どんな社会にも通じるものです。ハギンズ家の子育ては、親にとっても参考になりました。


一連のヘンリー君ストーリーは、主役のヘンリー君がティーンに昇格する頃をもって終了。以後の主役は、ヘンリーの友人ビーザスの妹、ラモーナに交替します。
ラモーナは、ヘンリー君ものの中では、しっかり者の姉にくっついてくる、衝動と破壊の神みたいな幼児(まあ、幼児とは大概そうしたものですが)。



そんな彼女も、最新作では九歳。
ラモーナシリーズの中では、今日的な家族の問題が取り上げられ、小動物のようだったラモーナが、いろいろな壁に突き当たり、悩んだり考えたりしながら成長していく様子が描かれているようです。

 



読んだ本TB:0CM:0

王道

2006/04/23(日) 17:55:10

全員が、ミュージカルまたはオペラ歌手出身。もちろんソロOK、というか、もともとソロ歌手ばかり。かてて加えて、ルックスはルイス・ミゲル級をズラリと揃えた男声クヮルテット。反則だろうこれは。

Il Divo

Il Divo(music)
posted with amazlet on 06.04.23
Il Divo
Syco Music/Columbia (2005/04/19)


オリジナル曲中心のアルバムです。
ラテンやカンツォーネがかった、親しみやすいポピュラーソング集ですが、クラシック寄りの発声、十二分の声域と、過剰なまでの声量、男声クヮルテットならではのダイナミックな表現で、圧倒的な迫力。オペラを聴いているようなカタルシスがあります。
最後の「マイウェイ」など、あまりに物凄くて、笑えてしまいます。
いやあ、すんばらしいんですけど、なんというか、“わが道”というよりは……。

とにかく、これで評判とれなきゃウソでしょというくらいの、確信犯的グループ。そりゃ自分でディーヴォ(ディーヴァの男性形)と名乗っちゃうくらいですから。
アンコール」も注文しました。

 

偏愛音楽館TB:0CM:1

華麗なる男

2006/04/21(金) 18:45:23

アビエイター プレミアム・エディション

アビエイター プレミアム・エディション(cinema)
監督 マーティン・スコセッシ
レオナルド・ディカプリオ, ケイト・ブランシェット
posted with amazlet on 06.04.21
松竹 (2005/08/27)


若き億万長者、冒険飛行家、映画人、航空会社のオーナー社長。常軌を逸した散財ぶり、プライベートでは有名女優と次々に浮名を流し、何をやっても派手に話題をふりまくアメリカ社交界の寵児、ハワード・ヒューズのゴージャスな前半生を描いた伝記映画。

役者は健闘してしますし、お金もかけてるし、時代の雰囲気も出ていて、悪い出来ではないのですが、もうひとつ感動に欠けるような気がします。
なにしろご本人の実人生が、そのまま映画か小説のような人なので、事実のほうに引きずられ、監督ないしは脚本家の視点が定まらなかったのかも。長編の割には、エピソードの羅列で終わってしまった感があります。
いろんな賞が取れたのは、内輪ウケかな。ハリウッドの人なら、「そうそう、これこれ!」と、思わず手を叩いたであろうシーンが満載ですもの。生前のヒューズを知っていた人は、懐かしくもあり切なくもあり、というところだったのでは。


ディカプリオが一所懸命に演技をしているのを、久しぶりで見ました。「ギルバート・グレイプ」以来の熱演。この人、本来は演技派なのに、幾つになっても老けない童顔のせいで役が限られるのと、「タイタニック」の平凡な二枚目役が意外な大当たりを取って、主演オンリーのスターになったことで、かえって作品に恵まれないですね。
アカデミー賞万年候補、なんて言われそうで気の毒です。

ケイト・ブランシェットのヘプバーンも、感じが良く出てました。いいとこのお嬢さんで、頭の回転が速く、何をやらせてもよく出来て、快活で自信たっぷり。大またにガシガシ歩く、チャレンジ精神旺盛な男まさりの女性。
ヒューズとは似たもの同士で、だからこそすごく気が合うし、だからこそ、違うところが気になってしまう。二人が男同士だったら、長くつきあえたかもしれないですね。結婚とか考えずに済むわけですし。

父がヘプバーンの大ファンだったので、「アフリカの女王」なんか、テレビの洋画劇場でやるたびに見せられていました。ナヨナヨ・シナシナした女っぽい女優全盛の時代に、色気のないところが新鮮で良かったのだそうです。
今だったら、男性人気は確実にエヴァ・ガードナーがさらいそう。強い女なんかそこらじゅうにゴロゴロしてて、珍しくもなんともないもんね。
こういうのって、結局無いものねだりなんでしょうね。

お話は、ヒューズが紆余曲折の末、どうにかこうにか巨大航空機ハーキュリーズを完成(ただし、実用化には至らなかった)、人生の頂点に立ったところで終わります。その後のヒューズは、仕事では成功したものの、ラストに暗示されているとおり、いっそう奇行が目立つようになり、事故の後遺症や神経症が悪化して、最後は別人のように衰えてしまったとか。

莫大な財産だけは、生涯変わらず彼の生活を彩りましたが、健康と人間的な幸せには恵まれなかったようです。

 

見た映画(DVD)TB:0CM:0

すみません

2006/04/21(金) 14:30:48

過去記事を更新するだけで、ランキングにpingが飛んじゃうんですね。
作品・作者索引に最近の分を入れたら、新着記事あつかいされてしまいました。
ライブドアの記事に飛んじゃう項目もたくさんあるってのに。

この先、増補するごとに新着になるんだろうか。憂鬱。
未分類TB:0CM:0

夢のあとさき

2006/04/20(木) 16:47:07

ゴッドファーザーからシチリアつながりで、ついでに。
これ、DVDが出たんだ。欲しいなー。

タヴィアーニ兄弟傑作選 DVD-BOX

紀伊國屋書店 (2004/11/20)

タヴィアーニ兄弟監督作品のうち、代表的な三本「カオス・シチリア物語」「パードレ・パドレーネ」「サン・ロレンツォの夜」のセット。いずれも名作。内容から見ればお買い得ですが、総額だとけっこうなお値段ですね。
カール・ドライヤー選集みたいにバラで売ってくれないかなあ。

「カオス・シチリア」は、ルイジ・ピランデッロ(ピランデルロ)の短編集「一年の物語」の中の、シチリアもの数編を映像化したオムニバス作品。
虐げられたカラスの呪いが降りかかったかのように、過去に取り残されてしまった貧しい土地にまつわるひなびた伝説と幻想。

希望の少ない村を出て、富と夢を求めて新世界に渡った移民たちの互助組織が、マフィアの原型だったのでしょう。移民一世のビトー・コルレオーネの夢は、自身のファミリーだけでなく、故郷の同胞も共に繁栄することでした。
二世のマイケルはシチリア生まれではないけれど、最晩年にシチリアに戻り、希望に満ちた幸福な時代の回想にふけるのは、(あまりに悲惨ななりゆきとはいえ)「カオス・シチリア」の最終話、「母との対話」と一脈通じるところがあるように思います。

ピランデッロは小説家としてより戯曲家として知られる作家ですが、翻訳本は、まあ例によってどれもこれも絶版です。文学史には頻繁に出てくる名前なのに、なんとしたことだろうか。それほど昔の人ではないので、図書館には置いてあるでしょう。
「一年の物語」は、いまだに全訳されたことはいないようです。全集ものなどに数編ずつ採録されてはいますが、いちばんまとまっているのが、このあたりでしょうか。
アマゾンならお取り寄せができるみたいです。

旅路―ピランデルロ短編集 内山 寛訳 ハヤカワ文庫 1976年

たいへん上手い作家です。カルヴィーノほど難しいことを言わないのもいいところ。


 


読んだ本TB:3CM:0

死ぬことと見つけたり

2006/04/20(木) 12:35:36

梟首の島 上

坂東 真砂子著
講談社 (2005.12)
通常24時間以内に発送します。


19世紀後半のロンドンで、土佐出身の日本人留学生が割腹自殺。前夜に彼と面会していた日本人も、まもなく他殺体で発見され、二つの事件の関連を疑うロンドン警視庁が動き出した。
同じ頃、維新の混乱いまださめやらぬ日本では、自由民権運動が激化。国内統一を焦る明治新政府の厳しい弾圧にあって、思想と表現の自由を求める政治運動は、次第に危険な方向へ追いやられていく。時代に翻弄される人々の中には、多くの土佐人の顔ぶれもあった。
近代国家として出発したばかりの日本と、繁栄の都ロンドン、地球を半周分隔てた対照的な二つの土地で起きた、一見無関係の出来事に、いったいどのようなつながりがあるのだろうか。

…と書くと、いかにも面白そうでしょう。
ところがどっこい。
何がいけないって、まず、登場人物に魅力がない。ステレオタイプで、生きた人間という気がしません。キャラ設定が透けて見えるような感じ。どこかで聞いたようなセリフ多し。

背景にも疑問がありすぎ。
岩神家は息子が家督相続しない件(当時考えられん。土佐では普通なのか?)。
長子の家出(跡取りが、いい年こいてしょぼい理由で。いくらなんでも無責任。この場合、出て行くのは母親のほうでは)。 
家長が死んだってのに、岩神家は暮らし向きが妙に楽であること(息子が二人ともぶらぶらしていられるって、どんな財産家? 店も暇そう)、などなど。  

何かというとすぐ下半身の、それもえらく直截的な話になるのも品がないし(棹、棹とうっとうしい。これって土佐標準なのか?)、兄貴のほうはてっきりホモかと思いました。“性”にこだわりすぎて、なんかかえって不健康な感じです。

それでも多少面白かったのは、民権運動を、尊皇攘夷運動の熾火の再燃と見るあたり。民衆運動じゃなくて、士族の反乱の延長線上なんですね。だから、行き着く先が“いくさ=テロ”になっちゃう。

維新直後に続々と送り込まれた留学生たち(けっこうな人数が向こうに渡っていたのですね)の後日談も、史実として興味ぶかい。尋常に帰国して名を上げたのはほんの一握りで、大半は挫折し、欧州浪人になったり、この話のように死んじゃったりしている。
これだけ情報の豊富な現代ですら、海外に出るとカルチャーショックがあるというのに、本物の西洋人を見る機会さえほとんどない土地から、いきなりロンドンに放り込まれて、正気でいろというほうが無理かもしれません。考えてみると、ずいぶん無茶なことをしたものです。
この小説で読む限り、あまり日常的に武士らしいとは言えない人が「恥辱」などとは、いい気なもんだと思うけど、このような感覚は、きっと実際にあったのでしょう。


 
読んだ本TB:0CM:0

オレンジの危険な香り

2006/04/19(水) 16:17:08

ゴッドファーザー三部作で、最も気になる小道具はオレンジ。

ビトーとマイケルのひっそりとした最後にも、鮮やかなオレンジが添えられています。

使われている場面からみて、どうも「死」の暗喩らしいのですが、しかし、なぜオレンジなのだろうか。

“オレンジと死”で思い当たるのは、ホームズの「五つぶのオレンジの種」ですが、これはマフィアではなく、KKKの脅迫に使われている暗号でしたね。ホームズの調べた事典には、KKKが凶行に先立つ警告としてメロンやオレンジの種を送るのは、“奇妙だが一般に知られた警告”(中田耕治訳)と書いてあったことになっています。新大陸の風習だったのでしょうか。

このあたりが、オレンジから死を連想する根拠になったのかもしれませんが、手持ちの辞書・事典類にはKKKとオレンジの関係も、オレンジと死にまつわるメタファーのことも出てきません。考えすぎか。

考えうるその他の理由
 ・監督がオレンジ好き
 ・地味なシーンなので色がほしかった。
 ・オレンジならどのロケ地でも入手できた。
 ・スタッフの実家がオレンジ農家。

つまらねえ…。


シャーロック・ホームズ傑作選

A.コナン ドイル Arthur Conan Doyle 中田 耕治
集英社 (1992/11)

なみま雑記TB:0CM:0

罪と罰

2006/04/18(火) 22:56:07

ゴッドファーザー PART III
ゴッドファーザー PART III
監督 フランシス・F.コッポラ
アル・パチーノ、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア
タリア・シャイア、ソフィア・コッポラ
posted with amazlet on 06.04.18
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン (2004/10/22)


既に老境を迎えたマイケルは、莫大な経済力を背景にバチカンと結ぶことで、別れた妻ケイとの果たせなかった約束――裏社会との訣別――を実現しようと画策していた。
ケイとは正式に離婚、二人の子供も彼女のもとで育ち、忠実なトム・ヘイゲンは既に亡く、残る家族は妹のコニーひとり。孤独な帝王の慰めは、別居後もなんの疑いもなく「大好きなパパ」を慕ってくれる娘のメアリーの成長だった。
伯父フレドに懐いていた息子とは、フレドの死を巡って距離が出来ており、将来は弁護士にとのマイケルの希望(かつてビトーがマイケルに描いていた青写真そのまま)も助力も撥ね付けられる。
困惑するマイケルの前に、長兄ソニーの遺児で、長らく疎遠だったビンセントがひょっこり現れた。
若い頃のビトーに通う面差し(デニーロとガルシアが?まさかと思うが本当に似てます。顔で選んだ配役だな)、何かと周囲に頼られる親分肌も祖父似、人懐こい笑顔と直情径行はソニーそっくりのビンセントに危ういものを感じつつも、自分にない激しさを好もしくも思うマイケルは、彼を後継者にすることを考え始める。
一方、バチカンでは現法皇が死去。清廉で知られる新法皇との面会で、マイケルは威厳に打たれ、思わず真情を吐露。これが意外な好結果を生み、マイケルの計画は軌道に乗り始めた。
しかし、周囲は彼の真意を理解しない。コルレオーネファミリーの動きに対して、さまざまな思惑が動き出し、マイケルの思いをよそに、再び血で血を洗う抗争へと発展する。そして、最も罪のない者が犠牲に…。


前二作に比べると、評判がもう一つですね。独立性が薄いことと、前作よりこじんまりまとまっているのが原因かな。しかし、アル・パチーノの名演はもとより、凝った演出、重厚で象徴的な映像、三部作の終曲としてふさわしい荘厳な作品と思います。

マフィア礼賛でも、ましてや暴力賛美でもない、マイケル・コルレオーネの一代記としては、彼の老残を曝すのは当然の帰結といえるでしょう。
また、Ⅱのテーマであったマフィアの変質も継承され、より容赦ない形で描かれています。
すなわち、中盤でのビンセントの報復シーンは、時代こそ違え、Ⅱにおけるビトーの最初の犯罪と全く同じシチュエーションで行われている。しかし、ビトーの行為が、良き市民たちの祝祭の陰でひっそりと遂行され、直接の動機はともあれ、結果として共同体全体から歓迎されるものだったのに対して、ビンセントは祝祭の冒涜者であり、市民生活をおびやかす破壊者にすぎません。
頼れるゴッドファーザーの時代は去り、マフィアが反社会的な犯罪集団に堕落したことを表す、象徴的な場面です。

復活祭のパレードは、ラスト近く、オペラの舞台上でも反復され、十字架のキリスト像とそれをとりまく人々の姿が、さらにクライマックスで変奏となってあらわれてきます。

演奏されるオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、シチリアの決闘事件を題材にしたもの。無意味な血の流れる悲劇は、三部作の寓話とも見えます。
ラストシーンのバックに流れる美しい旋律は、このオペラの間奏曲。
というのはつまり、これはまだ幕間にすぎず、更なる血の抗争、愛を失う悲劇が永遠に続くということなのでしょうか。
(Ⅲの製作時にはさらにビンセントを主人公とする続編の計画があったので、それを意識してのものだったのかもしれないですね。)


公開当時、Ⅰ・Ⅱで名脇役ぶりを発揮したトム・ヘイゲンを出さないのが失敗という意見が多かったようですが、トムはマイケルよりかなり年長のはずですので、マイケルがこの年齢なら死んでるほうが普通です。出すとしても、回想程度だったでしょう。トムの息子が聖職者になっているのも、マイケルの葛藤と一脈通じているようで、二人の絆の深さが推し量られます。

また、親父のコネとか叩かれてる、メアリー役のソフィア・コッポラですが、イタリア女性の重ったるい情の深さ、激しい情愛と少女らしい一途さの交錯する可憐な雰囲気が良く出ていて、なかなかの好演だと思います。
この役は、ダイアン・キートンみたいなアングロサクソン系の理知的・鋭角的な美しさでは駄目で、豊満かつ清純という、マイケルの最初の妻アポロニアのような、ある種の女性性の理想像であるべきですから、ルックスの好みはさておき、ソフィアはそれほど外れてはいないでしょう。


 






見た映画(DVD)TB:0CM:0

執念

2006/04/16(日) 18:07:31

蛇の形

蛇の形(book)
posted with 簡単リンクくん at 2006. 4.16
ミネット・ウォルターズ著 / 成川 裕子訳
東京創元社 (2004.7)
通常2-3日以内に発送します。


平凡な若い中学教師ミセス・ラニラは、ある夜の仕事帰り、近所に住む嫌われ者の黒人女性アン・バッツが、大怪我をして瀕死の状態で路傍に倒れているのを発見。ミセス・ラニラの通報や蘇生の努力もむなしく、アンはその場で息を引き取る。
アンの体にあった多数の外傷や死の直前の様子から、彼女は他殺を疑うが、やってきた警察の捜査はなぜかおざなり。彼女の証言はことごとく無視され、事件は目撃者も証拠もないのに「ひき逃げ」で処理される。頼りの夫も警官と一緒になって彼女を否定し、あげくの果てにはノイローゼ扱い。夫婦仲は険悪になり、遂には離婚寸前に。さらに、「黒人好きの変人女」と、近所の人々からの執拗な嫌がらせが始まる。
心身ともにぼろぼろになった彼女は、どうにか夫との関係を修復。海外へ移住し、子供をもうけ、騒動を忘れたかのように平穏な生活を取り戻す。
しかし、彼女の中で事件は終わっていなかった。
20年後、退職した夫とともに帰国した彼女は、警察を頼らず、自分自身でありとあらゆるつてを駆使して、徹底した再捜査に乗り出す。
彼女が開くパンドラの箱の中から飛び出したのは、女性・黒人・障害者・子供・小動物などあらゆる弱者に対する差別と虐待。嘘、ごまかし、職務怠慢、責任逃れ…。
胸の悪くなるような、町のみにくい素顔。そこには彼女の身近な人々の姿もあった。


なぜ・どのように・誰によって、アンは殺されたのか。
中心となる謎の周辺に、真実にかかわる無数の細かい謎がちりばめられています。
“人も物も見た目どおりではない”というのはいつものウォルターズ節ですが、今回は一部さらに「それがどうした」という二重のひっくり返しもあります。

事件当時の70年代末、サッチャー政権による公費節減と民営化の波をかぶり、崩壊しかけた市民生活を背景に、思いやりも助け合いの精神も後退して、人心がすさんでいく様子がリアルに描かれています。
特に、裁判所や警察など公的機関に対し、検視や現場捜査のやり直しを執拗に求める主人公に向かって、当局のみならず一般市民までが「税金をムダ遣いさせるつもりか!」と罵倒して、被害者の人権蹂躙に間接的に手を貸してしまうくだりはショッキングでした。

ところで、主人公は、なぜここまで事件にこだわるのか。20年も昔の出来事を蒸し返し、無関係の家族を傷つけてまで、自身の尊厳を取り戻さなくてはならないものなのだろうか。
読み進めれば進めるほど、そんな疑問が強くなってくる。これは、真相が解明されたあとも、最後の最後まで残る謎。もしかして、この主人公、けっこうイヤな女かも。なんか感情移入しにくいわ…というモヤモヤが、ラスト1ページで晴れる仕掛けです。やられた。


 
読んだ本TB:0CM:1

三すくみ

2006/04/15(土) 00:59:56

学校崩壊

学校崩壊(book)
posted with 簡単リンクくん at 2006. 4.15
河上 亮一著
草思社 (1999.2)
通常2-3日以内に発送します。


著者は公立中学の先生で、かの「プロ教師の会」のリーダー。
教師による教育論というと、(無理もないんだけど)とかく一方的な学校擁護と文部省・家庭批判になりがちなので、この著者についてもこれまであまり興味がなかったのですが、先日TV番組でコメントしているのを聞いたら、意外に冷静なご意見。特に「現在学校は窮屈な場所になっている」という点に共感できるものがありました。
とはいえ、短い時間内では、この言葉の真意がどのへんにあるのか、よくわからなかったので、ちょっと古いけど、代表的著作であるらしい本書を読んでみました。

まあ、結局思ったほどではなかったというか、学校の現状について縷々述べてあることは、公立中学にかかわった者ならもはや常識ですし、ご意見の骨子はまさに学校擁護と文部省・家庭批判なので、ちょっとあてが外れた。

ただ、本書の救いは、多少なりとも大局的な視点があることでしょうか。結局、学校(=教師)・行政・家庭がそれぞればらばらの考えで動いていて、当の子供が宙に浮いてしまっているのが問題なのではないかと。どうも、「何のために教育するのか」という出発点が見えなくなっちゃってる。家庭は近視眼的になりがちだし、行政は抽象的な絵ばっかり描いてる、教師は日常業務をこなすので手いっぱい。これじゃ子供は、どっちが正しい方向なのかわからない。だから逸脱しだすと戻ってこられなくなっちゃう。

これを、現象面だけ見て対症療法でなんとかしようとするから、家庭が過剰なお受験に走ったり、逸脱した生徒が戻るのを待てずにそのまま学校から(社会から)はじき出してしまったり、珍妙な教育方針?を打ち出してみたりと、本質的な解決にならない無駄な努力を重ねてしまうのでは。

まあ、その点、もう専業主婦は不要、今後、女性もすべて職業を持つこととて、この機会に、もはやめいめいの仕事で忙しい父母による「家庭教育」などあてにせず、就学前教育の義務化、託児業の充実などをはかるのは、前向きで結構な政策かも(いっそ共産国家のシステムにならっては?(笑))。

愛国心に満ち満ちた大人コドモを大量生産、なんてことになったら、シャレになりませんものね。

 
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マントを脱いだ又三郎

2006/04/14(金) 15:45:55

宮沢賢治「風の又三郎」精読

大室 幹雄著
岩波書店 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。


ファンにとっては常識なのでしょうが、宮沢賢治という作家/詩人の人となりを、私はほとんど知りません。

農業学校の教師として、寒冷地での農業の研究・改良に努めるかたわら、数々の名作童話や詩をものした多才の人、「雨ニモマケズ」刻苦精励、貧困のうちに病をえて早世……薄ぼんやりとそんなふうに思い込んでいたので、本書の冒頭で紹介される、裕福な質屋の跡取り息子としての宮沢像に呆然としました。

今ふうに言えばニート、退屈な家業を嫌って、いい年をしてふらふらと落ち着かない、理屈だけは立派なのらくら者。農業も所詮はお坊ちゃんの道楽。生活のかかった一般農民の真剣さとは比ぶべくもない。

とはいえ、学問・思想・芸術は、もともとこのような余裕の産物であって、経済的には無能の彼も、知的な生産性は群を抜いており、思想的には父の帰依する法華宗に始まり日蓮宗へ、やがて日常的な地を這う視線とは異なる高踏的な視野を得るに至る。
その世界観によって再構成した郷土こそ、彼の桃源郷・イーハトーブであり、理想郷に遊ぶ霊的存在として又三郎を位置づけたところで、大室先生のいつもの地平に軟着陸します。

おあとはどんどん風呂敷が広がって、とうとうマンの「ヴェニスに死す」までたどりつきます。
映画のほうの坊やは、先生のご趣味ではなかったようで、それには我々のイメージする少年美と欧米のそれとの違いが要因の一つではあるにせよ、小説のほうのタジウは、完全なる「聖性」より、少老病死の輪廻・回帰の象徴のように思われ、あの一種すわりの悪い、ひょろひょろと未完成の「若さ」は、熟れ過ぎて死の匂いのするヴェニスないしは主人公との対比において、まずまずのキャスティングと私には感じられました。

ところで、先日放映されたNHKスペシャル「巨大穴 天坑 謎の地下世界に挑む」、中国奥地の山岳地帯にぽっかりとあいた巨大な坑(あな)、その底に通じる地下水脈、別世界のおもむきに目を奪われました。
まさに、地上のすべてに通じる地下世界です。
あの地中深く隠れた水流の向こうに、もしや花咲く理想郷が…。

中国人の伝説は、どこまでが現実でどこからが空想だったのでしょうか。


 
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小皿の名人芸

2006/04/14(金) 15:14:34

特別料理
スタンリイ・エリン著 / 田中 融二訳 早川書房 1982年


“犯罪小説”でくくってしまうのはもったいないような短編小説集。
単純な推理パズルや小洒落たショートストーリーを期待すると、あてが外れます。むしろ純文学的な人間観察や主人公の心理がこの作家の真骨頂でしょう。短編でいえば、モーパッサンのような。
あるいは、P.ハイスミスが中・長編でやろうとしたことと、ほぼ重なります。「君にそっくり」などは、そのまんまといってもいいくらいですし。


特別料理: 注文の多い料理店。ファンタジックなストーリーにしては、中身がやや生硬ですが、バッサリオチをつけないところといい、隙のない佳品です。アンブローズ=ビアス先生がカメオ出演(笑)。というか、話自体がカーシュの「壜の中の手記」と同工異曲のようでもある。なんだってビアスは再々こういう話のネタにされるんでしょうか。あまり良い素材とは思えないのですが…。

お先棒かつぎ: 赤毛連盟。ただし、裏に隠れた犯罪よりも、赤毛のおっさんに焦点が。いったいお前はそれで良いのかと、小一時間問い詰めたい。

クリスマス・イヴの凶事: 完全犯罪その後。悪いことは出来ない、ということ。だけど、いちばん悪いのはチャーリーだという気もする。

アプルビー氏の乱れなき世界: ラストも凄いですが、奥さんが怖い。

好敵手: イヴ・ブラックとイヴ・ホワイト(C.H.セグペン「私という他人」)。サイコものです。

君にそっくり: 短編なのでコンパクトですが、まさに「そっくり」そのまま、ハイスミスの「リプリー」(あるいは「太陽がいっぱい」)です。これだけでなく、「アプルビー氏」なども、ハイスミスと筆致が非常に似ているのです。この二作家、どのような関係だったのだろうか。気になります。

壁をへだてた目撃者: 隣室の若い主婦に密かな恋心を抱いている主人公は、ある日壁越しに隣家の惨事を聞きつけます。彼は、片思いの恋人のために、隠蔽された殺人を暴き、彼女の無念を晴らそうと奔走するのでしたが…。
美貌ゆえに、周囲の男たちの邪心の犠牲になった薄幸の女性をめぐる切ない物語。

パーティーの夜: 永遠の輪廻。お芝居は終わらない。

専用列車: 人形の家出。というにはあまりに酸鼻な。

決断の時: 中心となる二人の性格描写にすぐれています。挫折を知らない人間にありがちの肥大した自尊心という弱点。負けるより勝って失うもののほうが、はるかに大きいような気がするのですが、はたして彼はどちらに決断するのでしょうか。はたまた、真相は。
息が出来ないほどの葛藤。犯行の瞬間のストップモーション。短編ならではの技です。

 


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新しいサービスよりも

2006/04/07(金) 23:36:38

トラックバック企画参加です。

とりあえず、pingがちゃんと飛ぶとか、閲覧障害が出ないとか、既にある機能を安定して使えるようにするのが先決かと。
livedoorも、ユーザーが爆発的に増えたときに、対応が間に合わなくて、かなりの期間、ひんぱんにトラブルが出てました。それを嫌って、古いユーザーがずいぶん逃げたのです(私も)。
fc2も、そろそろ危ないですよ。
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桜の下の幽霊

2006/04/04(火) 18:05:27

朝っぱらからつい、ディスカバリーチャンネルでオカルト特集を見てしまいました。なぜ四月にオカルトなんでしょう。生暖かい風が吹いてくると――?
ダンスホールの幽霊、やることは大げさだけど、意外と良心的でした。


闇の展覧会 1(book)
カービー・マッコーリー編 矢野・真野訳
早川書房(ハヤカワ文庫NV)1982年

キングの中編「霧」を含む、超自然ホラーアンソロジーシリーズの第一巻。これは絶版ですが、昨年改編版(全三巻)が出ていまして、そちらは入手できます。


遅番(デニス・エチソン) 昔の借金なんか、チャラにしてやればよかったのに。

(I.シンガー) いわれのない敵意。生霊のたぐいでしょうか。

闇の天使(エドワード・ブライアント) 気持ちはわかりますが、何もそこまで。恨みっぽい人ですね。

三六年の最高水位点(デイヴィス・グラッブ) オンディーヌまたは美しき水の精。

マーク・インゲストリ(ロバート・エイクマン) 都市伝説。

夏の終わるところ(C.ワグナー) ウソウソ。そんなもの居ません!

ビンゴ・マスター(J.オーツ) ホラーというよりは心理小説かな。ずいぶん酷い見方をするものです。女性作家って、残酷。

探偵、夢を解く(ジーン・ウルフ) 夢判断またはなぞなぞ。これは難しかった。三回読み直して、やっとわかりました。

(スティーブン・キング) TVドラマで見たことがあります。街がある日突然、深い霧に覆われ、スーパーマーケットに閉じ込められるお話。モンスターより人間のほうが怖い、キングお得意のストーリーです。


 


ちなみに新版はこちら↓

闇の展覧会 敵

カービー・マッコーリー編 / 広瀬・真野・矢野訳

闇の展覧会 罠

カービー・マッコーリー編 / 広瀬・真野訳

闇の展覧会 霧

カービー・マッコーリー編 / 広瀬・真野・矢野訳
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ping が送信できないとお嘆きのアナタに

2006/04/02(日) 17:39:46

このところ、ping送信が不安定で困っていました。
サポート掲示板などを見ていますと、同じ問題を抱えている方が散見されます。サーバーの状態によるみたいですね。
こちらFC2に来てからは、トラブルらしいトラブルがなかったので、残念です。といっても、livedoor時代は、書き込みができない、見られないなど、フェータルな問題が続発していましたので、それに比べたらping発信できないくらい、どうってことないのですが。(ただし、今はlivedoorも安定しているようです。)

なかなかラチがあきそうにないので、blogpeople提供のping・トラックバック送信ソフト「ぶろっぐぴんぴん」を導入しました。
livedoorもFC2も、複数のping送信に対応しているので、必要性を感じなくて、存在自体すっかり忘れていましたが、こういう時に使えるものだったのですね。

blogpeopleに登録してログインすると、会員ページ左側のメニュー内「その他サービス/ツール」の中に案内があります。
最初に設定さえしてしまえば、あとは更新ボタンクリックだけで、10いくつの更新先に、次から次へ、ピンピン!と送れてしまいます。送信のログも残りますので、たいへん便利。
一度送ると、30分間は送信できない仕掛けになっているのも、うっかり二重送信なんてことがなくて、有難いですね。

完全に畑違いですが…。
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孤立

2006/04/01(土) 17:29:01

ゴッドファーザー PART II

ゴッドファーザー PART II(cinema)
監督 フランシス・F.コッポラ
アル・パチーノ ロバート・デュバル ダイアン・キートン
ロバート・デ・ニーロ
1974年アメリカ
posted with amazlet on 06.04.01


マフィアのコルレオーネ一家の栄枯盛衰を描いた「ゴッドファーザー」三部作。
不世出の大ボス・ビトーの死と三男マイケルがドンを継承するまでのいきさつが中心のパートⅠは、何度見たかわからないくらいお馴染みなのに、どういうわけかⅡとⅢはちゃんと見たことがなかった。
このあいだ、BSのアカデミー賞特集で放映したのですが、200分の長編を2時間半程度に圧縮してあって、途中から見たのも悪いんだけど、話が見えず、何がなんだかサッパリ。
消化不良でたいへん気持ちが悪かったので、一念発起して、とりあえずⅡ(二枚組)をレンタルしました。

Ⅰのような、ドンパチアクションは少なく、影の濃い沈鬱な映像。華やかさが無い分、娯楽性に乏しいですが、ビトーの立志伝とマイケルの苦悩を対比させた“マフィア今昔”とでもいうべき仕立てが面白く、3時間を超える大作を一気に見てしまいました。

貧しい移民として出発したビトーの時代、“力”は主に家族/仲間の名誉と暮らしを守るために使われ、ファミリーが大きく強くなるにつれて、彼らの結束はますます固まっていく。彼は名実ともに家長であり、彼に保護を求め、感謝し、欲得抜きで彼を慕う“ファミリー”に囲まれている。

しかし、マイケルの代では、マフィアは変質、血縁や義理人情のつながりよりは、金を介した「企業」の性格が強くなり、ドンへの求心性は急速に失われていきます。
ビトーに漂う血の匂いを嫌い、コルレオーネ一家の裏の顔を消して、娯楽産業という表の顔だけでやっていこうとするマイケルの悲願は裏目に出て、商売が成功すればするほど、裏切り・離反が相次ぎ、遂には、ファミリーの形を維持するために、ファミリー内部に向かって“力”が行使されるという、最悪の事態となります。
孤立するマイケル。もともと、ファミリーへの反発から出発した彼にとって、それは当然の帰結だったのかもしれないが…。


マフィアという特殊な集団をあつかってはいますが、アメリカ創成期から現代に至るまでの社会や家族の変遷とも、それとなくリンクしているのが興味深いです。

もはや頼れる親分ではなく、単なる犯罪企業の首領と成り果てているマイケルのその後は? 
パートⅢが待たれます。

 

見た映画(DVD)TB:0CM:0

国境越えて200海里

2006/04/01(土) 15:59:35

雪国

雪国
posted with 簡単リンクくん at 2006. 3.29
川端 康成作
岩波書店 (2003.3)
通常2-3日以内に発送します。


このあいだ、TVをつけたら、NHKBSで、「名作平積み大作戦」という何だかよくわからない番組にぶつかりました。毎回、「電車男に感動した人にオススメ」とか、脱力系のテーマに沿って、国文学・海外文学各一冊ずつ、いわゆる名作を紹介する企画のようです。
その回は“切ない恋をしたい人にオススメの名作”。
挙がったのが「雪国」と「はつ恋」。
この取り合わせは何なの?とか、オススメとは何事、とか、まあそういうことはさておき、プレゼンターと称して登場した俳優が、「雪国」の例の冒頭部分を朗読するにあたって、何の躊躇も無く

こっきょうのトンネルをぬけると…」

とやったわけです。
いや、私は最後のほうの十数分を見ただけなので、番組前半でその件について何か言及があったのかもしれませんが、とにかくそのラスト近くの朗読では“こっきょう”になっていたのですね。

もちろん、元原稿にルビなんか振ってませんので、「国境」が“こっきょう”なのか“くにざかい”なのかなんてわかるわけがない。芝居の台本と違って、音読を想定した作品ではないから、作者が特に指定しない限りは、頭の中でどう読もうが、読者の自由なのでしょう。

しかしなあ、これが漢文系の鴎外、もしくは露伴…は微妙としても、ものによっては6:4くらいの割合で「こっきょう」かなと思うところだけど、川端康成は、どう見ても和文系だもんなあ。たとえば樋口一葉なら、もう九分九厘「くにざかい」でしょう。

単に語感の問題なんですが、どうにも耳についてしまって。
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やしろの行進

2006/04/01(土) 15:18:12

今年もやしろの日がやってまいりました。

イソプレス 窓の社

う~む、毎年よくかんがえるなあ。
本陣の脆弱性は気になるところだ。
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