常世国往還記

本と映画のノート



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かもめ

Author:かもめ
読書と映画の鑑賞記録。
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奇怪なリサイクル

2004/06/30(水) 19:05:22



鉄の枷(book)
ミネット・ウォルターズ著 成川裕子訳 東京創元社 1996年
一人暮らしの老女が、浴槽で手首を切り、スコウルズ・ブライドル (人間用の轡のようなもの? ) を被った死体となって発見される。
自殺? とすれば原因は何か。そもそも、こんな奇妙な姿で死んでいるのは何故?
捜査を進めるうちに、死んだ老女の身辺の奇妙な出来事が次第に明らかに。
さらに、老女自身とその一家の驚愕すべき過去も、白日のもとにさらされてゆく。




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ネタバレ女彫刻家

2004/06/29(火) 23:06:11

主人公ロズの獅子奮迅の働きで、オリーヴの冤罪は晴れ、大団円のラスト……とはいかないのですね。調査の中心にいた人々よりむしろ、傍観者の元警官ハルが、職業的な勘てヤツでしょうか、どことなく不穏な空気を感じ取っています。

後半、読者もついロズの興奮に巻き込まれてしまいますが、冷静に見れば、オリーヴの無罪はロズが思うほど明白ではありません。
わずかながら、読者だけに示されたロズの知らないオリーヴ像には、奇妙な性癖がいくつも現れています。






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嘘吐きのパラドックス

2004/06/28(月) 15:53:50



女彫刻家(book)
ミネット・ウォルターズ著 成川裕子訳
東京創元社(創元推理文庫) 2000年
母と妹を惨殺した罪で終身刑に服するオリーヴ。
彼女を題材に「売れる」キワモノルポを書く必要に迫られたロズは、この謎めいた囚人とその関係者にインタビューを試みるが――。


「氷の家」と同じ手法の推理物ですが、前作のユーモアは影をひそめ、かわりに無くもがなの大立ち回り (読者サービス?) なんか入っているところがちょっとがっかり。
しかし今回も、随所に散りばめられた嘘と誤解が、話を非常に複雑にしています。
初めから容疑者を 「嘘吐き」 と規定した上で物語を進める点がなんとも挑戦的。






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こんなことして楽しいか?

2004/06/27(日) 18:41:44

69 sixty nine
69 sixty nine(cinema)

監督 李 相日  脚本 宮藤官九郎
妻夫木聡 安藤政信 2004年 日本

生まれて初めて邦画の試写会に行きました。
そうですタダ券があったからだよ。
生保のおばちゃんに貰ったのよ。

原作を読んでいません。
以下は、映画だけを見ての感想です。
原作は素晴らしいのかもしれませんが、映画を見る限りでは、あまり読書欲が湧きませんでした。
悪しからず。







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嘘から出たまこと

2004/06/26(土) 16:31:32



氷の家(book)
ミネット・ウォルターズ著 成川裕子訳 
東京創元社 (創元推理文庫) 1999年

古い屋敷の片隅にある氷室から、腐乱死体が発見される。
屋敷の美しい女主人は、かつて失踪した夫の殺害容疑で取調べを受けたが、決めてとなる死体が発見されず、捜査は長らく頓挫していた。
すわ、夫の遺体発見か? しかし、何故10年も経った今になって。

ユーモアミステリでもないのに大笑い。
このお話では、普通、推理物の根幹をなす 「証言(ことば)」 も 「証拠」 も、はては人の行動に至るまで、大半がまやかしだからです。




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星屑ものがたり

2004/06/24(木) 14:37:13


マルホランド・ドライブ(cinema)
監督・脚本 デビッド・リンチ
ナオミ・ワッツ 、ローラ・エレナ・ハリング
2001年 アメリカ
展開といい、画面といい、デビッド・リンチらしい作品。
夢と現実がシームレスに交錯します。

話をストレートに解釈すれば、よくあるタイプの女の子、ベティ (ないしダイアン) とリタの愛憎物語なのですが、ダイアンという一人の女の二面性を描いたものと受け取れないこともない。というのも、ベティとリタ、違うようでいてなんとなく似ているのです。





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死にゆく男

2004/06/23(水) 16:55:24



めぐりあう時間たち(book)
マイケル・カニンガム著 高橋和久訳 集英社 2003年
映画の予告などから、女の人の話なのかと思いましたが、意外にも男女混合でした。

小説「ダロウェイ夫人」をめぐって、ヴァージニア・ウルフ (作者・戦前) ローラ (読者・戦後) クラリッサ (=ダロウェイ夫人・現代) の、ある短い期間の「意識の流れ」を追った物語。
その一部は、自身をウルフ女史に擬する詩人リチャードの何とか賞(忘れた)受賞作であり、また、別の一部、あるいは物語全体が、エイズで死に瀕する彼の回想でもあるという、複雑な構造の小説です。



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パニックのなかの家族

2004/06/19(土) 23:54:31


サイン(cinema)
監督・脚本 M.ナイト・シャマラン
メル・ギブソン 、ホアキン・フェニックス 、
ロリー・カルキン
2002年 アメリカ
SFと言うにはちょっと恥ずかしいようなシロモノだし、何なんでしょう、これは。
前二作を見る限り、チープな監督とは思えないので、やっぱりこれって、この類の映画とか娯楽小説の下らないパロディ (単なるパロディ) を下敷きに、心理ドラマとか、ホラー的なものをトッピングしたんじゃないかと思います。
ワクワクするようなつかみで始まるので、ついマジメにストーリーを追ってしまいますが、監督本人が扮するオドオドした獣医さんが出てくるあたりから、どうも話の筋自体は本気じゃないような気がしてきました。



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ビューティフル・マインド (cinema)

2004/06/16(水) 23:32:27


ビューティフル・マインド
監督 ロン・ハワード 
ラッセル・クロウ エド・ハリス
ジェニファー・コネリー
2001年 アメリカ

誰の話?

ナッシュ像が原作とあまりに違うので、愕然。
本を読んだ限りでは、ナッシュはとてつもない自信家で、こんなにオドオドした不器用な人間とは到底思えません。

それはともかく、映画は映画で、とてもよく出来ています。
最初から別ものと思って楽しめばよかったのですね。

原作は、ナッシュ本人よりも、夫人を中心とした周囲の人々や、彼を取り巻く環境に焦点が置かれていました。
対するに、映画はあくまでもナッシュ自身の闘病生活を描いたもの。彼の強い不安やパニックが、観客にはデビッド・リンチ風のサスペンスとして迫ってきます。



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ビューティフル・マインド (book)

2004/06/16(水) 23:09:39



ビューティフル・マインド―天才数学者の絶望と奇跡―
シルヴィア・ナサー著(1998年) 塩川優訳 
新潮社 2002年

ノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの伝記。
今時の経済学って、くらくらするほど数学で、とっくの昔に文系の学問ではなくなってますが、こういう人のせいだったのね。

学会に彗星のごとく登場した天才学者が、30代で分裂病(統合失調症)を発病、20~30年間にわたる闘病のすえ、この社会復帰がきわめて困難な病を克服し、知能や記憶をほとんど損なわない奇跡のような寛解に至るまでの、病歴の詳細な記録でもあります。



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家族という病

2004/06/15(火) 23:00:32

洋販のベストセラーに入っていたので、あれれ、今頃どうして?と思ったら、やっぱり映画化されていたんですね(明日から公開)。
原作を読む限り、いろいろと問題の多い暗めの話ですが、映画ではどんなふうに料理されているのでしょうか。

綴り字のシーズン
マイラ・ゴールドバーグ著 / 斎藤 倫子訳
東京創元社 (2002.7)
通常24時間以内に発送します。


気の滅入る話です。家族関係ホラーと言ってもいいかもしれない。

綴り字コンテストのことは、その昔、シュルツの「スヌーピーとチャーリーブラウン」シリーズで知りました。
何度もマンガのネタに使われているところをみると、アメリカの大抵の子供にとって、かなりのストレスを伴う共通経験らしい。
日本だと、お受験なんかが同じようなシチュエーションかもしれませんね。
子供の能力に過剰期待してしまうのは、どこの国の親も同じのようです。


イライザ・ナウマンは、ユダヤ人の父とワスプの母の間で育つ小学五年生。
弁護士の母が稼ぎ手で、父親が主夫として家事をとる、ちょっと変わった家庭ではありますが、彼女自身はきわめて凡庸な少女です。
優秀な兄とは反対に、両親の期待を裏切ってばかりいる彼女に、ある日奇跡のような出来事が起こります。スペリングコンテストのクラス代表になり、続いて校内コンテストで優勝してしまったのです。

この成り行きは、読者にとってはさして意外ではありません。
作者の語るイライザの内面世界は、豊かなイメージとユーモアに彩られていて、鈍重な子供のそれには到底見えないからです。
しかし、彼女の隠れた部分に気付かない両親にとっては、青天の霹靂。
頭の良い母、信心深く勉強家の父、秀才の兄、その中でただ一人外れ者だったイライザに並外れた才能が。
しかし、この幸福な事件を機に、もともと地に足のついていなかった一家は、完全に離陸してしまいます。

イライザにとって、スペリングコンテストは、生まれて初めて真剣に集中して事に当たる、すばらしい経験でした。ちょうど思春期にさしかかろうとする時期、起こるべくして起こった正常な「目覚め」。コンテストはそのきっかけにすぎなかったのに、あまりに華々しい成功だったため、両親はこれを単なる成長とはとらえません。
イライザがさらに州大会でも優勝し、全米大会進出を決めたとき、彼らは、それぞれの歪んだレンズを通して、娘に勝手な解釈を加えます。

宗教マニアの父は、これこそ神が特別に与えた恩恵と信じこんでしまいました。自分が若い頃から求めても得られなかった神との対話を、娘の特別な能力を通じて実現できるかもしれない。彼は勢い込んで娘の教育=洗脳にとりかかります。
母は母で、自身の経験から、イライザが親の歓心を買うために自分を失っていると考える。そして、娘を無邪気な子供のままに留め得ない苦しさと、親の期待に抑圧されていた少女時代の記憶に追い詰められ、自らの心の病を悪化させます。

一方、これまで父の最大関心事だった兄は、すっかりなおざりにされてしまいます。両親にとっては「自慢の息子」ですが、実は、晩生で典型的ないじめられっ子タイプ。父の期待と干渉が、彼を支えると同時に、精神的自立を遅らせる原因ともなっていました。
父の視野から外れて、ようやく大人への道を踏み出すかに見えますが、これまで無批判に受け入れてきた父の価値観に疑念を持ったまでは良いけれど、彼のひ弱な自我は、ほんとうの意味で自立する前に、父の代替物のふところに飛び込んでしまいます。

さて、イライザのコンテスト準備は、最初、自室に鍵をかけて閉じこもる、一般的な思春期スタイルで始まりましたが、やがて父の強い希望を受け入れて、場所を父の書斎に移します。
書斎は、これまで兄以外は自由に入ることを許されなかった特別な空間。父に構ってもらえなかったイライザは、この退行現象に抵抗を感じるどころか、有頂天になります。しかし、閉じられた室内で、父の洗脳にどっぷり漬かって、彼女の主体性は次第に失われてゆく。
たのしいゲームだった勉強は、全米大会の頃には、宗教的な苦行に変わりはてていました。そして、敗退。
しかも、父と彼女の留守に、軸を失った家庭は薄皮一枚残して完全に崩壊してしまいます。

それでもまだ、全員が自分の問題に夢中になっていて、全体の危機的状況に気付かない。翌年のコンテスト目指して、父とイライザの「修行」が厳しさを増すなかで、形骸化した家庭は、一気にカタストロフへ向かうのでした。

父も、母も、兄も、自分に欠けたものを埋めようと、必死にもがいています。
父は、果たせなかった社会的な成功を。
母は、充足した子供時代を。
兄は、強い「男性」を。
そして、三人とも、それぞれに完全なる世界(パーフェクト・ムンド)の実現を夢見るのですが。
探す場所を間違えています。

イライザも、彼らさまよえる子供たちの仲間になってしまうのか、
それとも、自分を取り戻すことができるのか。

二年目のコンテスト前夜に起こる、イライザのトランス状態の意味がもうひとつよくわかりません。思春期の精神的なスッタモンダが一夜のうちに起こったということなのかな。
この不思議な体験が吉と出るのか凶と出るのか、最後までハラハラさせられますが、それはさておき。

人生もコンテストも、ほかの人や神様にやらされているわけではありません。するかしないか、どう生きるか、選ぶのは自分自身。
選択がなんであれ、自分に誠実なら、神様はきっと結果を見守っていてくださるでしょう。     2005/12/22改






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アマゾンのアフィリエイトについて

2004/06/14(月) 22:04:48

いちおう参加しておりますが、小遣い稼ぎをしようというつもりはありません。
画像があったほうが賑やかでいいし、それより何より正確な書誌情報が得やすいだろうと思ったのです。
なんといってもライブドアだとリンクが簡単に設置できるので、リンク貼りの苦手な私にはもってこいでした。

しかし、つらつら打ち込んでみると、けっこう画像の無いものや、絶版ものがありますね。
アマゾンには無いけれど、ツタヤで見つけてリンク付けたところもあります。
別にツタヤの回し者ではありません。ただの情報だと思ってご覧ください。
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アホでマヌケなアメリカ白人 (book)

2004/06/14(月) 21:29:45



アホでマヌケなアメリカ白人
マイケル・ムーア著 松田和也訳 柏書房 2002年
予約から一年以上かけて、やっと手元にやってきました。
もはや予約したことさえ忘れていました。
いまだに戦争はぜんぜん終わってないし、ちょうどムーア監督の新作映画のカンヌ受賞と重なったので、かえってタイムリーになってしまいました。



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ボウリング・フォー・コロンバイン (cinema)

2004/06/14(月) 21:14:15



ボウリング・フォー・コロンバイン
監督 マイケル・ムーア  2002年 カナダ/アメリカ

この手の映画は、重く暗くなりがちなのに、「ウザく」ならないよう、笑いを取りつつ上手に料理してあります。

アメリカ市民社会における恐怖と暴力の関係をテーマにしたドキュメント。ムーア監督じきじきの突撃インタビューを中心に構成されています。
このような映画は、ともすればプロパガンダ色が前面に出て、作品全体としては雑なつくりになりがちですが、アニメや、ニュース映像、CMフィルムなどを効果的に配し、一見ラフでありながら、ユーモアたっぷりでテンポの良い、質の高い仕上がりなのはさすがです。

自身もライフル協会会員で、「銃が好き」なことをふまえた上でのムーア監督の意見には、非常に説得力がありますし、アメリカの風土と政治状況を中心に据えつつ、最終的には非暴力という、間口の広い主張になっているために、アメリカ人だけでなく、世界中の人々の共感を得やすい作品だと思います。

中学生、高校生にぜひ見てもらいたい。
だいじょうぶ、絶対退屈しないから。


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別れの儀式

2004/06/12(土) 18:08:38

最後の注文

グレアム・スウィフト著 / 真野 泰訳
新潮社 (2005.10)
通常24時間以内に発送します。


(旧版)「ラスト・オーダー」中央公論社 1997年
以下、感想は、中央公論社版を読んでのものです。


ウォーターランド」のスウィフト作品。
版元のごたごたのせいだと思いますが、残念ながらただ今絶版中。図書館か古本屋で探してみてください。


寓話的な「ウォーターランド」より万人向きかもしれません。それでこっちがブッカー賞とったのかな?
原題は"LAST ORDERS"。複数形です。

肉屋のジャックがガンで急死。彼の遺書には、「関係者各位」宛に、自分の遺灰をマーゲイトの桟橋から海にまくよう書かれていました。

ジャックの飲み友達である勤め人のレイ、葬儀屋のヴィック、八百屋のレニー、加えてジャックの養子ヴィンス。男ばかり四人が、この「注文」に従って、骨壷をかかえ、海へ丸一日ドライブするはめに。その道すがら、故人を加えた五人の交流、昔からの確執などが、それぞれのモノローグで語られ、合間にジャックの妻エイミー、ヴィンスの妻マンディ、ジャックにかかわりの深い女性も、同行しないながら(その理由も含めて)、同じくモノローグで心情的に参加します。

これはとても正しい野辺送りの物語です。
参列者がおのおの故人の生涯を振り返り、自分とのかかわりを見つめ直し、死を悼み、死を想い、永遠の別れを告げる。要所要所を葬儀屋のヴィックが仕切るところなどは、形式的にも葬儀の進行にのっとっていますね。途中でちゃんと、神様にお参りもします。

目的地であるマーゲイトの海は、その昔、ジャックが障害児の娘を(精神的に)捨てた場所。同時に、自分の人生を止めてしまった場所。
さらに、彼ら全員の、単なる友情と呼ぶにはあまりにも複雑な関係の出発点でもあることが、やがて明らかになってゆきます。
最後に、同じ場所で自らを解放し、友人たちをそれぞれ過去のしがらみから解き放つ、それこそが彼のオーダーだったのでしょう。

水に還るイメージは、「ウォーターランド」にも共通のもの。
この作者のお気に入りなのかな。

故伊丹十三監督の「お葬式」という映画があります。
これは、葬式という儀式そのものをテーマにした作品です。
公開当時傑作だと評判でしたが、面白い視点だとは思ったものの、私は生理的にダメでした。それが何故なのか、この小説を読んでちょっとわかったように思います。

(追記)
新潮社のクレストシリーズで復刻されました。
よかった、よかった。

気が向いたら、クリックしてくださいね。よろしく。
 







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偶然の音楽 (book)

2004/06/11(金) 23:31:35



偶然の音楽
ポール・オースター著(1990年) 柴田元幸訳 
新潮社 1998年

行きて還らぬ、お金の物語です。
このテーマは、とてもアメリカ的な感じがします。

しがない消防士のナッシュに、突然思いがけない大金が転がり込みます。小さい頃彼を捨て、存在すらとうに忘れていた父が、蓄えをそっくり彼と姉に遺したのです。わお!
あこがれの新車を買いこみ、金の心配のない自由気ままなその日暮らしを楽しむナッシュですが、せっかくお金持ちになったのに、逃げた女房が帰るでなし、姉に預けた娘が戻るでなし、恋人一人つなぎとめることもできない。お金で手に入るものって、なんだか思ったほど多くないような。
結局、唯一の「買える」自由にかじりついて、贅沢な放浪生活を始めますが、むなしさがつのるばかり。やがて無限に思えた大金も、じりじりと底をつきはじめます。
そんな折も折、ポーカー師のポッツィが彼のところに転がり込んできました。ナッシュはポッツィと組んで、一攫千金を狙うのでしたが……。



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ウォーターランド (book)

2004/06/10(木) 14:42:23

ウォーターランド

ウォーターランド
グレアム・スウィフト著 真野泰訳
新潮社(新潮クレストブックス) 2002年

水郷を舞台に繰り広げられる、永遠回帰の物語。
単なるエンタテインメントとして楽しむこともできます。映画化作品(未見)は、この小説のミステリの部分に焦点を当てて作られたようです。
しかし、ミステリとしては、簡単に結末が読めてしまうため、特別出来のよいものではありません。当たり前です。そんなもののために書かれたわけではないのだから。

とはいえ、過去・現在、世界・個人、(そして水と陸)、異質なものの間を恣意的に、と見せて実は綿密な計算に基づいて移動して行き、落ちつき先の見えにくい物語世界は、人によって好き嫌いが分かれそうですね。
私ははまりましたが、それでもちょっとやり過ぎだよという気がしないでもない(笑)。




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終わりなき負債 (book)

2004/06/09(水) 19:16:17



終わりなき負債
C・S・フォレスター著 村上和久訳
小学館 2004年

金遣いがだらしなくて借金苦のマーブル家に、或る夜身寄りを無くした甥がひょっこり訪ねてくる。オーストラリアで死んだ両親の財産を相続したばかりの、リッチで世間知らずで無防備な甥っ子の登場に、マーブル氏の欲望は膨れ上がり、爆発する。
しかし、甥から巻き上げた小金を手にしたとたん、はるかに低リスクで、しかも比べ物にならないくらいの金儲けの種が舞い込み、マーブルは、浪費癖も追いつかないほどの億万長者に成り上がる。

念願かなって借金取りから追われる日々は終わった、が、マーブルは金では贖いきれない負債で、古い借家に縛り付けられていた。
金まみれの生活、家庭崩壊、酒に溺れる毎日。しかし、どれほど苦悩してもマーブル氏の負債が完済される日は来ない。


原著1926年刊行。犯罪小説の古典という位置づけのようです。
あとがきにもあるように、パトリシア・ハイスミスの先駆といえる作品。当時としては意欲作だと思うけれど、「罪と罰」に比較するのは、ちょっと大げさでは。マーブル一家のラプソディは、やはりエンタテインメントの域を出ないように思います。


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黒い黙示録 (book)

2004/06/07(月) 21:33:22

黒い黙示録 (book)
カール・ジャコビ著 矢野浩三郎訳 国書刊行会 1987年


いわゆるパルプマガジン作家、カール・ジャコビの処女短編集。
典型的な怪談のほか、SFやファンタジーの色合いの強い作品も収められています。
ラヴクラフトが絶賛していたというだけあって、アイデアの面白さだけでなく、イメージの美しさが印象的でした。( )内は発表年

黒の告知(1933年) 
 吸血鬼もの。

霊界通信(1934年) 
 ちょっと映画「オーロラの彼方に」を思わせます。

呪いのステッキ(1934年) 
 気持ちはわかるがはた迷惑です。
 これだけのことをやらせておいて、ご恩返しのひとつも無いとはどういうことか。
 やたらな中古品を買うのは考え物です。

二百年の疾駆(1932年)
 わりとオーソドックスな怪奇民話風。
 「スリーピー・ホロウ」と似てる。

(1937年)
 上がったり下がったり。

運河(1944年)
 SF世界における悪夢の逃走劇。
 追い詰められた主人公の心理と幻想的な描写がリンクして、
 なかなか深いものがあります。

悪魔のピアノ(1934年)
 マッド・サイエンティストのプロジェクトX。

最後のドライブ(1933年)
 他人を巻き込むのはやめてくれ。

魔銃(1941年)
 不条理でない変身ものなら、やはり「山月記」がいちばんですね。
 これもいい線いってるんですが、惜しいところでした。

サガスタの望遠鏡(1939年)
 何となく火曜サスペンス劇場。

湖の墓地(1933年)
 湖底に沈んだ墓地と、それを守る男の物語。
 墓地のイメージが哀れに美しい。

ピストル小島(キー)の宝(1947年)
 欲望は人を狂わせる。

苔の島(1932年)
 SF巨大植物の島。

カーナビーの魚(1945年)
 ローレライ伝説。怪談ながら、美しいものです。 謎めいたオチは、さまざまな想像を誘います。

キングとジャック(1938年)
 呪いのトランプ。

宇宙交信(1938年)
 電波系。春先に増えます。やばいです。

二振りの剣(1933年)
 歴史幻想。

色彩の研究(1939年)
 黒=悪、白=善、というのは、常識的すぎて。

マイヴ(1932年)
 処女作。淋しく不吉な沼地での幻視体験。
 萩原朔太郎の「猫町」を連想しました。

落書き(1944年)
 これも一種の電波系なのですが、
 宇宙人がイメージを送りこむというアイデアは、
「未知との遭遇」でも効果的に使われていましたね。

風の中の顔(1936年)
 「黒衣の女」というテーマで、第一話と対をなしています。
 地を這う恐怖と天翔ける恐怖。
 ところでカエル除けの塀って、じっさいに造ることがあるんでしょうか。

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アムステルダム (book)

2004/06/06(日) 15:47:40



アムステルダム
イアン・マキューアン著
小山太一訳 新潮社(新潮クレストブックス)1999年


かつてみんなのアイドルだった飛んでる(死語)モリーが亡くなりました。
お葬式に出席した元愛人の作曲家、タブロイド紙の編集長、そして二人に最強最悪のライバルとして蛇蝎の如く忌み嫌われる外務大臣。老境にさしかかり、それなりに功成り名とげた彼らは、かつての恋人の死にあたって、それぞれ複雑な思いにふけり、感傷だけでやめておけばよいものを、いい年をしてまたぞろガキっぽい恋の鞘当てを始めてしまう。恋そのものはとうの昔に失われてしまったというのに。

美しくて、溌剌として、頭の良かったモリー。
彼女はある日突然アルツハイマーを発症し、最後は廃人同様になってしまう。
自分が誰かもわからなくなったモリーを看取ったのは、彼女の華やかな恋愛遍歴のなかでさんざんふみにじられてきた(と、世間では思われている)おとなしい夫。誰一人見舞にも来ないなか、ようやく自分一人のものになった妻を、自宅で献身的に介護したのでした。
美しいですね。愛ですね。

ところが、自分こそ最高の恋人と自負する愛人たちは、肝心な時に何一つしてやらなかったにもかかわらず、厚顔にも

「かわいそうなモリー、アホなダンナに監禁されて」

なぞとほざき、作曲家に至っては「オレが夫だったら、モリーの尊厳を守るために、とっとと安楽死させてやったのに。そのほうが、よほどモリーのためだったろう」と考えはじめる始末。
……おいおい、殺すんかい!

登場人物全員、言ってる事とやってる事がまるきりチグハグです。
編集長は固い友情を誓った相手を、舌の根も乾かぬうちにサツへ売っちゃうし、硬派で鳴らす外務大臣は超恥ずかしい秘密を持っているし。
短期間とはいえ、こんな連中とつきあっていたモリーって一体…(-_-;)。



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アイリス(cinema)

2004/06/02(水) 16:57:20


アイリス
監督:リチャード・エアー 2001年
ジュディ・デンチ、ジム・ブロードベント、
ケイト・ウィンスレット、ヒュー・ボネヴィル
高名な哲学教授であり、小説家としても世界的に有名なアイリスは、著作に、講演に、講義に、毎日多忙な日々を過ごしていた。ところが、いつの頃からか、講演中に言葉につまって何を話しているのかわからなくなったり、執筆中に続きが書けないことが増えてきた。病院で受診した彼女に、医師は「アルツハイマー症」との病名を告げる。それは、彼女の精神に対する死の宣告だった。

出会った初めの頃から今も変わらず妻を熱愛する夫のジョンは、彼女の絶望を受け止め、他人を嫌がる妻の面倒を自分ひとりで見ようと決心する。しかし、自分自身の著作のかたわら、徐々に子供に還っていくアイリスの日常生活をサポートするのは、老境にさしかかったジョンにとって、並大抵のことではなかった。

物語は、ジョンの苦闘ぶりと、二人のなれそめのころの、痛々しいほど美しい日々を、交互に映し出します。
才媛で、活発で、手の届かない女性だったアイリスに片思いのジョン。彼女が奇跡のように彼に振り向き、他の魅力的な男性たちを尻目にぐいぐいと彼の心に踏み込んで、内気な彼の世界を開いていった夢のような若い時代。このかけがえのない記憶がアイリスとジョンの闘病生活を支えるのでしたが……。



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ラスト サムライ(cinema)

2004/06/02(水) 00:04:30


ラスト サムライ 特別版 〈2枚組〉
監督 エドワード・ズウィック
トム・クルーズ、ティモシー・スポール、渡辺謙
2003年 アメリカ

19世紀半ばのアメリカ。
勇敢な騎兵、射撃の名手で鳴らしたネイサン(トム・クルーズ)は、インディアンとの抗争が一段落した今、平和な世界で自分を持て余していた。
英雄ともてはやされてはいるが、前線で市民を守った射撃の腕前も、今ではお祭りの余興程度にしか見られない。虚しさを酒で紛らす彼の元に、意外な申し出が届けられた。
ニッポンという東洋の新興国で、出来たばかりの近代軍を一から育ててくれないかというのだ。
大金に釣られて、ほんの腰掛のつもりで日本にやってきたネイサン。
彼の指導を待つ政府軍は、農民の寄せ集め。実戦訓練を全く受けておらず、ものの役には立ちそうもない。あきれ果て、思いきりやる気をなくしたネイサンに、政府の役人は、いますぐこの部隊を使って反政府軍を鎮圧するよう命じる。
敵の力量もわからないまま敵地に赴くネイサンたちと素人部隊は、山中で謎めいた武士団の奇襲攻撃を受け、味方は散り散りに。ネイサンは孤軍奮闘するも、多勢に無勢、かれらのとりこになってしまう。
本拠地に移送されたネイサンの前に、英語をあやつる敵の首魁(渡辺謙)が現れた。
彼の圧倒的なカリスマ性と、常に訓練を怠らない精鋭の武士団に、ネイサンは捕われの身ながら、次第に魅了されてゆく。

ほとんど違和感の無い日本もの外国映画を初めて見ました。
ゲイシャ、フジヤーマ、未だにステレオタイプのイメージが横行しているなかで、これは、ほんとうによく調べてあって、まじめに出来ていたと思います。もちろん、地理的な位置関係とか、日本人から見ると欠点が無いではありませんが、フィクションと思えばたいした傷ではありません。



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